K1100RS 全塗装(Part3 悪戦苦闘)

ようやく塗装の準備は整った(というか、塗る対象が揃った)。
まずは最も簡単なサイドカバーから始め、続いてテールカウル、アッパーカウルと塗ることにした。

非効率なサイドカバー塗装

落札した初期型サイドカバー(元々は銀色)は、一部塗装が剥がれかかっているので、これは全部剥がしてしまったほうが良さそうだ。この時点では剥離剤を使う気がなく、ひたすらヤスって剥がしていく。気が遠くなりそうな作業だ(しかも最終的にはこの部品は使わなかった)。

この作業は週末の昼間に庭でやっていた。寒い中、作業着代わりに古いフライトジャケットを着て作業していたのだが、風が吹くとヤスった粉が飛んできて不快で、しかもおそらく身体に悪い。

さすがにハンドパワーでは無理がある。諦めて剥離剤を買ってきたが、水性なのでパワーが足りず、スクレーパーで削っているといったほうが正しい。そして、やっとこさ剥がし終わったところで缶スプレーのサフェーサーを塗る。風が強いせいで、部品を塗っているのか、空中にぶちまけているのかわからない。そのぐらい効率が悪い。

そして水研ぎ、安物ホワイト(クルマ用ではなく汎用の安物。但し成分としてはクルマ用と同系統)塗装と進める。何をやっても効率が悪く、とても順調には見えないのだが、他のモノに比べるとこれでも順調な方だったりする。

とんでもなく非効率なテールカウル塗装

サイドカバーと並行して、テールカウルとグラブバー(元々はワインレッド)の作業も進める。グラブバーは塗装がハゲハゲなので、一旦全て剥がす。テールカウルはそうでもないので、ヤスリで足付けだけしてサフェーサーを塗る。

この時、テールカウルへのサフェーサーの「ノリ」が、サイドカバーに比べて非常に悪かったのだが、その理由に気づくのはかなり後になってからの話。理由もわからないまま、何度もサフェーサーを塗っては研いでを繰り返す。

なんだかやけに時間がかかったサフェーサー下地処理を終え、その上からホワイトを塗る。これまた風のせいで塗料のノリが悪く、しかもホコリだらけになってしまう。身体には悪いし、作業効率も悪いし、スプレーはあっという間に無くなって金ばかりかかるし、いいことなんて一つもない。

このホワイトが大問題だった。塗料がノリが悪いのを通り越して、塗ったそばからタレてくる。そのタレ方が尋常ではなく、ホラー映画の広告みたいにダラーッとタレてくる。よくありがちな、塗りすぎてタレてくるレベルではない。

これ、先に塗ったサフェーサーが溶けてきていないか???

サフェーサー自体がきちんと塗れておらず、下のワインレッドが溶けて混ざったマーブル状態になっているようだ。何だこりゃ、ノリが悪いのかと思ったら、元々のワインレッドと同化してしまっていたのか。これじゃダメだ。下塗りの役割を全く果たせていない。

よくわからないが、どうやらこのワインレッドは、今回使っているサフェーサーやホワイトといったアクリルラッカーとの相性が非常に悪いようだ。前所有者が塗ったのか、最初からそうだったのかは判らないが、兎に角このままでは先に進めない。しかたがないので、折角サフェーサーを塗ったテールカウルの塗装を全て剥がしにかかる。

しかし水性剥離剤のパワーが物足りず、全然剥がれない。自分で塗ったホワイトとサフェーサーは剥がれるが、その先がなかなか進まない。毎晩のように剥離剤を塗ってはスクレーパーで剥がす作業をしているのだが、これじゃ何時まで経っても終わらない。

痺れを切らして別のホームセンターで強力な剥離剤を買ってきた。本来はプラスチックには使ってはいけないシロモノだ。コレはさすがに剥がれるが、どうやらこのテールカウル、元々のワインレッドの上にさらにサフェーサー→ワインレッドと塗ってあるようで、剥がしても剥がしても断層のように塗装面が出てくる。所詮は100円のテールカウルか。

別のテールカウルを買いたい衝動をどうにか抑え、塗って剥がしてを繰り返す。そして2週間以上を要してようやく剥がし終わる。テールカウルはサイドカバーのように単純な形状ではないので、あちらこちらに剥がし残しがあるが、もうやってられないので終わったことにする。

この頃になると、もはや外で作業をする気が失せており、剥離のみならず塗装も家の中でやるようになる。ブルーシートや養生シートで万全を期した上で、ダンボールで塗装ブースのようなものを使って塗っていく。

まずはサフェーサー。ちゃんと剥離したところはマーブル状にはならない(当たり前)が、外から見えないところで手抜きした箇所は、やはり溶けてくる。普段は見えないところなので、見なかったことにする。

こうして「・・・ことにする」攻撃が始まると、仕上がりは一気に悪化するのだが、もはやどうにもならない。

ここまではSoft99のサフェーサーを使っていたのだが、風など来るわけがない室内で作業していても、やっぱりノリが悪い。吹いても吹いてもなかなか塗膜が厚くならないのだ。本来あるべき混合比になっていない気がする。寒さ対策でエアコンを入れたり、当然ながら使用前に缶を温めたりしているのだが、あまり変化がない。これはサフェーサー自体の問題と考えざるを得ない。

そこで、以前買ってたまたま残っていたプラモデル用のMr.カラーサフェーサーを使ってみたところ、これがなかなか良い感じだった。値段的にもこちらのほうが少し安いので、コレをメインで使うことにした(とはいえ、その結論が出るまでにSoft99のサフェーサーを3本無駄にしている)。

そしてようやくテールカウルを白に塗り終わった。見て見なかったフリをしていた剥離漏れ箇所は、やはりワインレッドが浮いてきているが、俺にはそんなものは見えない。最初に作業を始めてから1ヶ月以上経ていた。どうしてたかが白に塗るだけなのにこんなに苦労するんだ。

アッパーカウルは自爆

並行して作業していたアッパーカウルは、元々塗装が欠けていた箇所があり、そこをパテ埋めで修正する必要があった。しかし、パテ塗り後の平滑化作業中に誤って削りすぎてしまい、さらに塗装の割れが伝染して広範囲に及んで剥がれてしまうしまう悲劇が発生した。

こんなに判りやすい自爆はない。自分以外に悪い奴が存在しない事象というのは案外始末が悪い。何かに八つ当たりしたくなる衝動をぐっと抑えて慎重にパテを盛り、そして削る。こうして元々あった傷と自爆した傷を直し、それからようやく足付け→サフェーサーになる。

これまた屋外での塗装は猛烈にノリが悪くて苦労する。アッパーカウルは形状も複雑で、あっちもこっちも塗らなければいけないので、色々な方向にひっくり返しながら塗る。風と塗料のせいでノリが悪いこともあり、実に非効率な作業だ。

しかし、こちらは元々の紺色の塗料が溶け出すようなことはなく、普通に塗れている。やはりテールカウルは誰かが上からアクリルラッカー以外の塗料を塗ったのだろう。こうやって小さな幸せを探しながら作業を続ける。

とりあえずサフェーサーまでは外で作業したが、その後のホワイトはもう外でやる気になれず、これ以降は室内塗装ブースでの作業になる。アッパーカウルは2色塗り分けなので、明らかにブルーになる箇所は放置して、ホワイトになる部分だけを塗る。色々な方向にひっくり返さなければならないメンドクサさは変わらないが、無風なだけマシだ。

安物マスキングテープがサイドカバーをぶち壊す

テールやアッパーに対し、比較的まともに進められていたサイドカバー。よりによって「仮に首尾よく後期モノを入手できた暁にはお蔵入りになる」ことが判りきっている部品の進捗が一番良いとは。しかし、これにもやはり落とし穴があった。

ホワイトを塗り終わったサイドカバーにマスキングを施し、下部1/4にスーパーソニックブルーを塗る。しかし、この塗料のノリがまた恐ろしくダメだ。ちゃんと事前にシリコンオフで脂分を取り除いてから塗ったにもかかわらず、はじきまくってブツブツになってしまった。

原因はよくわからないが、外の寒さも無関係ではあるまい。しつこいようだが、缶スプレーはちゃんと湯で温めてから使っている。しかもキャンプ用のコンロで常時暖めているのだ。それでもダメなんだから、スプレーよりも対象物が冷たすぎることが問題なのかもしれない。

こうなってしまったものはしょうがない。暫く乾燥させてから耐水ペーパーで削って塗り直すしかないだろう。しかし、他の作業でドハマリしていたこともあり、すぐに作業せずにマスキングしたまま放置してあった。これが悲劇を呼ぶ。

サイドカバーの塗り分けは一直線だったため、高価なクリアラインテープではなくダイソーの安物マスキングテープを使っていた。塗装してから数週間後にこのマスキングテープを剥がそうとしたところ、とてもマスキングテープとは思えない粘着力でサイドカバーに密着しているではないか。多少糊が残ることはあっても、ここまで強烈だともはやマスキングテープではない。

結局、テープの糊がほぼサイドカバー一面に残りまくってしまう結果となった。既に白と青を塗ってある状態なので、手作業で地道に糊を剥がしていくしかないのだが、これがなかなか剥がれてくれない。塗装自体に失敗していて気分が良くないところにこの仕打ちが来ると腹立たしさが倍増する。全くやる気がしなくなったので、作業を途中で投げ出して棚の上に放置してしまった。

そうこうするうちに、今まで半年以上現れなかった適正価格の後期モノサイドカバーがオークションに現れた。ただでさえ形状的に気に入らない上に、塗装の失敗でさらに味噌をつけてしまった前期モノサイドカバーはもう使う気分になれず、これを落札してしまった。

これまでに前期モノサイドカバーにかけた労力、塗料、いずれも無駄にしてしまった。もしも塗装がうまくいっていたら、勿体無い根性が出てきて後期モノは落札しなかったのかもしれないが、装着したスタイルの良し悪しで言えば後期モノが格段に上なので、結果的には安物マスキングテープが良い方向に導いてくれたと思うしかない。

後期モノも結局同じことに

そして新たに届いた後期モノK100LT後期モノ用のサイドカバーを塗る。とりあえず剥離はしないでサフェーサー→ホワイトと塗ってみたが、サフェーサーの時点で一部怪しい箇所があり、ホワイトの時点でやはりタレが発生した。

テールカウルと同じ状態だ。これ以上頑張っても何も解決しないのは判っているので、さっさと剥離を始める。このサイドカバーもテールカウルと同じく非アクリルラッカーを重ね塗りしたのだろうか・・・と思ったらそんなことはなく、剥離した塗膜は1層だけだった。ってことはBMW純正塗装でも溶ける塗料のやつがあるのか? それとも無塗装品を買ってきて誰かが塗装したのか?

困ったことに剥離中に剥離剤が無くなってしまったが、剥離対象も残り少ないので、使えない烙印を押したはずの水性剥離剤を使って最後のもうひと押しをする。しかし所詮水性、ろくに剥がれないので、結局最終的には人力に頼り、メッシュヤスリでガリガリ剥がすことになった。

その先のサフェーサー、ホワイトは、この時点ではもはやお手の物である。プラモデル用サフェーサー、ホワイトと順調に塗り、スーパーソニックブルーを塗るのを待つだけになる。

案外たちの悪いミラー

ここまでの塗装対象は、今回調達したものばかりだったが、ミラーとタンクは現在のK1100RSのものをそのまま使う。これらも新たに入手しても良かったのだが、他のものとは違って比較的需要の多い部品であり、その分値が張る。そのためこれらの入手は諦め、現所有物をそのまま使うことにした。

カウルから取り外したミラーからウインカーレンズを外す。ミラー本体からミラー面を外すかどうかは迷うところだが、マスキングが面倒なので外すことにした。ミラー面は、そのまま地面なり何なりに叩きつければ外れるらしいのだが、あまり気が進まないのでミラー本体を分解して、裏側のクリップ状の針金をこじって外した。

こうして分解したミラーだが、これまでの数回の転倒のせいで傷が多く、塗装の前にパテ補修が必要だった。その修正を終え、サフェーサーを塗って水研ぎし、その上からスーパーソニックブルーを塗る。

このスーパーソニックブルーのノリもあまり良くなく、ところどころ弾いてしまって穴のようになってしまう。この穴が何故発生するのかはよくわからない。シリコンオフを塗ろうが何をしようが、出る時は出る。

この穴を削って、また塗って、を数回繰り返して、ようやく全面がブルーになった。しかし、このように何度も塗装を繰り返している間に、徐々にまだら模様化が進んでいたのは、最終的に太陽の下にこのミラーを出してみて初めて判ったことだ。

クリアラインテープはすごい

こうしてようやく各種カウルのベース塗装を終え、塗り分けが出来るようになってきた。ここからはベースの白をマスキングして、スーパーソニックブルーとアクアブルーを塗り分けていく作業になる。

まずはアッパーカウルから始める(初期モノのサイドカバーを先にやっていたが、これは一直線なので塗り分けした気分じゃない)。アッパーカウルの塗り分けは、上半分をスーパーソニックブルー、下半分をホワイト、その間にアクアブルーのラインを入れるというイメージだ。

塗り分けラインの重要な箇所に小さく切ったマスキングテープでマーキングをして、それに沿わせるようにジワジワとクリアラインテープを貼る。クリアラインテープは曲線用なので、角部分や曲線には強さを発揮するが、逆に一直線というのはうまく貼りづらい。後々見ると少々歪んでいる部分もあったりするが、素人作業なのでしかたない。結果論だが、ガイドとなるマスキングテープはケチらずにきっちり貼ってしまったほうが良かった気がする。

青と白の分かれ目だけをクリアラインテープでマスキングし、それ以外は普通の紙のマスキングテープと新聞紙で覆う。アッパーカウルはそこそこ大きいためマスキングするエリアも大きい。そして、様々な方向からスプレーするため、裏側も含めてきちんとマスキングしないと痛い目に遭う。このマスキング作業だけでも結構な労力だ。

そしてようやく満を持してスーパーソニックブルーを塗る。この頃になると塗装の腕が多少は上がってきているので、タレることなく普通に塗れる。しかし、缶スプレー特有の梨地状態はなかなか避けることが出来ず、塗装面のキレイさで言えば残念ながらイマイチだ。梨地を避けるために必要なものは、缶スプレーをタレる直前(この状態だと梨地を通り越してツルツルになる)まで塗り重ねられる腕前と、それだけの量を使える財力だ。残念ながら俺にはその財力がない。

それに加えて、下地処理時にやらかした塗装の割れを埋めたパテが、残念ながら消しきれていない状態になっている。これを再び削ったりする羽目になり、そこそこ上手くいっていたアッパーカウル塗装も、やはり予定よりも時間がかかる結果となる。

そしてスーパーソニックブルーをようやく塗り終わり、遂にクリアラインテープを剥がす時がきた。これでうまくラインが出ていれば拍手喝采だが、逆に貼りが甘くて塗料が侵食していたりするとブチ壊しになる。塗装作業においてはある意味クライマックス的な瞬間だ。

塗ったばかりのスーパーソニックブルーもろとも剥がさないように、慎重にマスキングテープを剥がしていく。ラインはキレイに出ており、お漏らしは発生していないようだ。このクリアラインテープはビニール製なので、一般的な紙のマスキングテープのように縁がケバ立つことがなく、塗装の境目がくっきりと仕上がる。

このキレイさは、紙テープしか体験したことがない自分にとっては少々驚きだ。ただ、少々重ね塗りが過ぎたようで、青と白の段差が目立つ。どうしようもないのでこれは無視する。

クリアラインテープへの過信

調子に乗ってテールカウルの塗り分けも始める。こちらの方が形の凹凸が多くてマスキングが難しい。それに加えて、テールカウル後端部をK100RS 2V最終型のように塗り分けようとしたために、マスキングの難易度が上がる。

アッパーカウルにはテープ同士を重ねる箇所は無かったが、テールカウルでは角型の塗り分けがあるためどうしてもテープを重ねざるを得ない。テープ同士を重ねるということは、即ち重なった部分は隙間が生じるわけで、ここから塗料が侵食してはみ出してしまう不安がある。

それに加えてカウル自体の段差も多く、そこではテープがきちんと張り付いていることが求められる。所詮はマスキングテープなので、過剰な粘着力は持っていないため、その張り付き具合にもまた不安が残る。

こうして不安だらけな筈のテールカウル塗装だったが、アッパーカウルでの成功体験が過剰な後押しをしたのか、スプレーする直前の再確認(最後のテープひと押し)を忘れてしまい、重ねあわせ部、段差のいずれもスーパーソニックブルーがはみ出して、みっともない事態になってしまった。調子に乗りすぎるとろくなことがない。

こうしてはみ出してしまうと、一旦削って塗り直すか、単にそのままホワイトを上から塗るか、いずれにせよ何らかの修正作業が発生する。ここでは横着をして適当にクリアラインテープを貼ってホワイトを上塗りしたのだが、剥がしたばかりのクリアラインテープをケチって再利用したことが災いし、今度はホワイトがはみ出してしまった。結局、一旦塗装を削って段差をなくした上で再塗装する羽目になる。

これと同じ事態は、スーパーソニックブルーのみならず、アクアブルーでも発生してしまった。しかしこちらはそれほど酷いはみ出しっぷりではなかったので、もう面倒になって無視してしまった。どうせこのはみ出しは、シートに隠れてよく見えないのだ。

こうして少しずつ塗装にも慣れ、マスキングにも慣れていく。後になって入手したサイドカバー、アッパーカウルの塗り分けは、比較的順調に進んだ(完成度を追求することをやめたとも言う)。

さらに続いてフロントフェンダーの塗装もするが、ここまでくるとこの程度の形状であれば何の問題もなく、かなり簡単に終わる。

ようやくガソリンタンク

カウル類の目処が立ったところで、最後の大物であるガソリンタンクを塗装する準備に入る。まずはタンクに貼ってあるエンブレムやステッカーを剥がす作業だが、これらは車両に装着したままの状態で実施する。きっちり固定されたままの状態のほうが作業しやすい。

同じ理由で、目立つ傷や凹みのパテ修正も同時にやってしまう。いつの間にかついていた、見るたびに萎えさせられる妙な傷が、これでようやく無くなる。さらに、誤ってRAMマウントを落とした時に出来た凹みも無くなる。

補修が粗方終わったところで、ガソリンタンクを外す。携帯缶を介してガソリンをセローに移し、タンクを空にする。そしてホース2本とポンプのコネクターを抜いてガソリンタンクを外す。タンクを固定しているピンは、もはや抜きっぱなしになってしまっているので考える必要がない。タンクのキャップも塗装の邪魔になるので外す。

外したタンクのパテ補修箇所を仕上げ、全体的に足付けをしてからサフェーサーを塗る。この全塗装作業の初期段階と比べるとだいぶ気温も上がってきているのに、相変わらずSoft99のプラサフはノリが悪い。残っていたものを全て使ったが、タンク全面を塗ることはできなかった。そのため、今回もMr.カラーのサフェーサーに頼ることになる。こちらの方が目も細かくて、削る手間が少し省けるため、あらゆる意味で好都合だったりする。

続いては安物スプレーのホワイトだが、作業終盤にさしかかっていたこともあって焦りが出たのか、サイド部分にタレが生じてしまった。また剥離剤で全剥離をする羽目になるのかとヒヤヒヤしたが、削って再塗装したところタレは再発せず、単なる自分のミスだったようだ。

ホワイトを塗り終え、スーパーソニックブルー、アクアブルーを重ね塗りする。この作業中にクリアラインテープが終わってしまい、追加購入を強いられる。このテープはモノが良いだけあって高い。10mで700円弱。あの…が無ければ、とこれまでにやらかした数々の失敗を悔いる。しかしタンクの塗り分けにはこのテープは不可欠なので買わざるをえない。

タンクは形状がのっぺりしているので、マスキングと塗り分け自体は簡単に終わる。残念ながら梨地状態だが、あとはウレタンクリアがどうにかしてくれるだろう。こうしてようやくすべての部品の塗り分けが終わった。

ウレタンクリアに期待しすぎた

最後の仕上げはクリア塗装だ。クリアとはいっても1パターンではなく、強い塗膜とヌメヌメ仕上げが期待できるウレタンクリアと、ホワイトと同じく安物スプレーのクリア厚塗りの2種類がある。

本来なら全面的にウレタンクリアを使いたいところだが、このスプレーは安物の3倍の価格なので、この塗料が必須なガソリンタンク(安物スプレーはガソリンに侵食される)に使用し、もし余った場合は目立つ部分(ミラーとアッパーカウル)だけに使うことにした。

おそらくウレタンクリアが回ってこないであろうテールカウルやサイドカウル、フロントフェンダーは、それを見越して安物クリアの厚塗りで仕上げる。ここまで何度も缶スプレー塗装をやっていると、そろそろタレる直前というのが判ってきているので、それなりにうまく仕上がるようになる。

そして最後にウレタンクリア塗装だ。説明書に従ってスプレー内の2液を混合させ、よく振ってからガソリンタンクに吹き付ける。そして軽くひと吹き、重ねてふた吹き…と吹きつけてみたが、勝手に期待していたヌメヌメ感には程遠く、安物クリアと大差ない。

その後も数回にわたって薄っぺらく重ね塗りをしてみたが、なかなか塗膜も厚くならず、期待した仕上がりになってくれない。タンクを立てて吹き付けているわけではないので、スプレーを少々下向きにして吹いていることも関係しているかもしれないが、それなら普通に吹き付けているサイド部分がツヤツヤになってもよさそうなのに、あまりそんな気配はない。

ウレタンクリアとはいっても、結局はそれなりに勇気を持ってタレる直前まで吹きつけないとダメなのかもしれない。しかし、ウレタンスプレーは1本しか用意していないし、この後にはミラーやアッパーカウルも待っている。それに、仮にタレてしまった場合のリカバーもしづらい(ウレタンクリアは2液混合なので、一度使い始めたら使いきらなければならない)。そんなネガティブなことが頭を過ぎり、これ以上タンクを塗り重ねることはやめてしまった。ウレタンクリアさえ塗れば梨地状態ではなくなるかと勝手な期待をしていたのだが、それは期待しすぎだったようだ。

そしてミラー、アッパーカウルの塗装に移る。どちらとも安物クリアで最低限の仕上げはしてあるが、ウレタンクリアを塗るつもりだったので梨地状態のまま。但しこちらは後に控えるものが無いので、ウレタンクリアが無くなるまで思い切ってやることができる。そしてアッパーカウルの目立つ箇所を集中的に重ね塗りをした結果、きちんと塗りさえすれば、期待していたツルツルヌメヌメ感が出ることが判った。

ここでウレタンクリアをもう1本買ってきて、ガソリンタンクに再チャレンジするかどうか、ほんの一瞬だけ悩んだが、アッサリ却下してしまった。理由は、ツーリングの予定が近づいてきており、時間が無いことがまず一つ。そして、ウレタンクリアの重ね塗りは時間を開けなければならないという説があることがもう一つの理由。まあ、時間云々よりもウレタンクリアの缶スプレー代2000円をケチりたかった言い訳に過ぎないのだが。

こうしてようやくすべてのカウルを塗り終えた(ことにする)。

乾燥にはそれなりに時間をかけたほうが良さそうなので、さっさと取り付けたい衝動をぐっと抑えて、取付に必要な部品の準備をすることにした。