車道峠最高所ツーリング

仕事の都合で4日しか取れなかった夏休み。気晴らしに日帰りツーリングに行くことにした。

Kは相変わらずエンジンが壊れたまま、というか放置しているのでセローで行くしかない。せっかくセローで行くなら涼し気な林道にしよう、ということで、乗鞍スカイラインに自家用車が入れなくなった今となっては車道峠最高地点らしい大弛峠に行ってみることにした。ここは山梨と長野の県境で、山梨側は舗装路ではあるものの、長野側はダートらしい。こういう場所こそセローがいい。というより、こんなところKじゃ行けない。

さっさと出ようと思ったものの当然のように寝坊して、ごく普通の時間に家を出る。相模川沿いを北上して、つい最近出来た圏央道の高尾山ICから高速に乗る。談合坂SAでの小休止を挟んで勝沼ICで降りる。目指す川上牧丘林道に向かって北上する。たまたま地図に載っていた「フルーツライン」という農道に入ってみると、実に素晴らしい道だった。農道はハズレが少ない。但し泥と農業車両に気をつけないと危険だ。

牧丘の道の駅で一休みし、向かいのコンビニで弁当とFREEを買う。そしてここから先はクリスタルライン。地図から想像すると、いかにも「暗い1.5車線のクネクネ道」風なそそらない道なのだが、実際に走ってみると、Kでもいけるんじゃないかと思われるような快走路だった。景観も悪くはない。そして標高が上がるにつれて涼しくなるのがまた良い。

しかし、自分の気分が良くなるにつれて、徐々にセローの機嫌が悪くなる。エンジンの吹けが悪い。ガス欠になったみたいな回り方だ。普通にキャブセッティングの問題なんだろうけど、こんなところでどうしようもないので加速時にボコボコ言いながらそのまま進む。そして大弛峠の頂上に着く。登山客が多いらしく、停まっている車も多い。

道路脇の段差に座って、買ってきた弁当を食う。ここは涼しいのは良いのだが、景色がイマイチなのが残念だ。もう少し歩けば良い景色になるらしいが、リュックも何もなく、しかもライディングブーツなためあんまりハイキングする気にもならず、仕方なくここで食う。

食い終わったら、あとは下りダートが待っている。去年はろくすっぽダートを走っておらず、かなり久しぶりなダートなので、肩に力が入りまくる。グリップさせないと走れないヘタレライダーには、斜度のキツい下りダートは厳しい。しかも路面状態がよろしくない。クレバス状の亀裂やら落石やらがそこかしこにある。

非常にゆっくりと、というよりノロノロとセローを走らせてダートを抜ける。ほとんど惰性で坂を降りているに近い。エンジンの吹け具合がどうであろうと関係ない。傍から見るとへっぴり腰でチョーカッコ悪いに違いないのだが、崖から落っこちることを考えればカッコ悪いことなんてどうでもいいことなのだ。それでも慣れるにしたがって少しずつ走れるようになるが、これも傍目には大差ないのだろう。そして10キロ弱に及ぶ下りダートもようやく終わり、アスファルト路面が現れる。ホッと一息つく。こんな走り方しかできないならダートなんて行かなきゃいいのに、と我ながら思う。

ここから先はのんびりした川上村の山間の道を走り、さらに南相木村、北相木村と、山の中を走る名もない県道をひたすら走り続けて小海町に出る。そのまま清里経由で帰っても面白味がないので、ここから少しだけ北上して佐久に出て、蓼科スカイラインを通って帰ることにした。佐久のあたりまで降りてくると、先程までの山の中と比べるとやはり暑い。思わずスーパーに寄ってガリガリ君の梨味を食べる。

元気を回復したところで再出発。佐久の農村地帯を走る国道を曲がって蓼科スカイラインに入ると、いきなりS字カーブを繰り返して高度を上げ、その後も延々と登り続ける。なかなかの快走路なのだが、スカイラインとは名ばかりで道の両側はひたすら森。恐れ多くもスカイラインを名乗るのであれば山の稜線か斜面を走るべきであって、上を見上げないと空が見えないなんて、これのどこがスカイラインなんだと言いたくなる。スカイラインたるもの、単なる快走路ではなく、景観も含めた爽快ツーリングルートであるべきだ。これまで何本もナントカスカイラインを走ってきたが、そのいずれの足元にも及ばない。これじゃ房総スカイラインと並ぶ詐欺スカイラインじゃないか、等々文句を言いながら走っていると、突如これぞスカイラインという場所に着く。

遠くに見える山並みが実に美しい。
房総スカイラインなんかと並べてしまってすいませんでした。
ちょっとだけ高台にあるトイレから眺めるとまた違った景色になる。
調子に乗って蓼科山に登りたくなってしまうぐらいだが、そんなことをしているような時間はないのでさっさと戻る。

しかし、蓼科スカイラインがスカイラインであったのはほんの一瞬であった。駐車場から白樺湖方面に向かう道はやはり森の中。途中で女神湖が一瞬見えるくらいで、停車しようと思うこともなく白樺湖に着いてしまった。

そこからは茅野に向かって国道を下り、八ヶ岳の南麓を走るエコーラインやらズームラインやらの爽快県道を走る。どうせセローなんて高速に乗ったって大したスピード出ないんだから、県道の方がよっぽどいい。しかしさすがに暗くなってきたので小淵沢ICで高速に乗る。そのまま相模湖ぐらいまで行ければ良かったのだが、さすが盆休みだけあって小仏だの笹子だのといった渋滞名所ではきっちり渋滞しているようだ。しかたがないので一宮御坂ICで降りて、御坂峠~河口湖~山中湖~御殿場というルートで帰る。心配されたエンジンの息つきは、御坂や須走程度であれば問題ないようだ。

さすがに疲れてきたので御殿場から東名に乗ろうとしたところ、こちらはこちらで渋滞していた。もう馬鹿馬鹿しくなってしまい、そのままICをスルーしてR138で箱根を越えてしまい、そのまま西湘バイパスに乗って帰宅した。

走行距離は約490km。一部高速混じりとはいえ、セローにしては走りすぎたか。