BMW K100RS Over 100,000km Project
初走行時インプレ

遂に納車の日が来た。さっさとバイク屋に行きたいのにこういう時に限って会議が延びる。閉店時間に間に合いそうもないのでとりあえず電話を入れ、いざ店に向かう。

店に着くと、奥の作業スペースに我がK100RSは居た。他にも購入したヒトが居るようで、店長はそちらにかかりきりになっていた。暫く店内をぶらついていると、整備の兄さんがバイクについて説明してくれるという。やはり国産とは色々違う点があるだろうから、嬉しいことである。

例によってスイッチ類の説明から始まる。BMW特有のウインカーは勿論のこと、ライト系も微妙に違う。さらにK100RSにはインジケーター類が多いため、これについても説明を受ける。ブレーキスイッチを操作し、正常であることが確認されると消えるインジケーターがあったり、サイドスタンドを上げないとクラッチが握れない等、細かいところでBMWの考え方を痛感する。他にもセンタースタンドをかけるためのグリップがあったり、何かと親切である。しかし、アメリカンのような位置にあるハンドルロックはいただけない。

一通りの説明を受けていると、店の馴染みであろうオジサンが俺のバイクを見て「これ売れちゃったのー?」等と話している。買う気もないのに売れちゃったの?も何も無いだろうと思うが。オジサン曰く、2バルブ4気筒のエンジンは非常に良い音がする、というので試しにかけてみる(この期に及んで初めてエンジンをかける俺も俺だが)。流石新品のバッテリー、一発でかかる。すると、あまり4気筒らしくない、周期的なパルス感があり、静かではあるが重厚な音がした。どちらかというとツインの音に近いのだが、これをBMWが意識的に演出しているのかどうかは定かではない。

店長の手が開いたので、約60万円を現金で払う。そして店長、先程のオジサンと共にしばし談笑、ここでいくつかの知識を仕入れる。オジサンが言うには、とにかくオイルの量に気を付けなければならないらしい。ここでは特に理由は聞かなかったが、後でその理由が理解できた。また、カウルについているフラップをいじくると、高速道路では感動するほどの効果があるらしい。さらにABSが効いたときはどうなるのか、等を訊ねる。

また、このK100RSは2オーナー物で、最初の持ち主がある程度乗った後、二人目のオーナーは車庫に入れてしまって殆ど乗らなかったそうである。何だかなあ、と思うが、BMWオーナーにはそういう人がたまに居るらしい。オジサンは俺をしきりにクラブに誘うが、BMWがナンボのモノかよくわからないうちに入るのもどうか、と思いここは適当にはぐらかす。

いつまでも話ばかりしているわけにはいかない。遂に初のライディングの時が来る。店の人が道路まで押して行ってくれた。毎度の事ながら、初めて乗るときは緊張する。慣れないウインカースイッチを操作し、クルマの流れが切れるのを見計らってギヤを入れ、おそるおそるクラッチを繋ぐ。クラッチのミートポイントは少し遠目だった。いきなりシャフトの特性の尻ピョコンをやってしまった。

少しトロ目にアクセルを開ける。1000ccらしく、十分なトルク感が感じられる。2速である程度回してみるが、高回転まで回しても劇的にパワーが出ることはないようだ。しかしここはまずエンジンよりも車体の取り回し、そして何よりもウインカーに慣れなければならない。さすがにシフトチェンジは国産と変わらないので、こちらはあまり意識せずに、寝かしたときの旋回具合、ブレーキ時の挙動等に注意しながら走る。

そのまま家に帰っても良かったのだが、見せびらかしついでに以前住んでいた会社の寮へ向かうことにした。3キロも乗るうちにそこそこ慣れる。ただし足付きが悪いので信号で止まるたびに足をバタバタさせてしまうのが情けない。ウインカーも思ったより早く慣れた。調子に乗って少しきびきびと走らせてみる。車体の倒し込みは非常に軽快であるが、旋回中の安定感は高い。直進安定性重視で倒し込みが若干鈍く、そのくせして旋回中の姿勢が安定しにくいNinjaとは正反対である。エンジンは全域フラットトルクで、下手すると今何速で走っているか忘れてしまう。そのため、ギヤポジションインジケーターを見る機会が増える。

会社の寮に到着。そこで飯を食った後、第三京浜を通って我が家へと向かう。第三京浜は空いていた。とりあえず流れに乗るためにアクセルを開ける。気が付くとあっという間に某速度を越えている。体にかかる風圧が弱いので気付かないのだ。前方が開いているので少しラフにアクセルを開ける。乱暴に開けてもエンジンはそれほど敏感に反応せず、スルスルと加速を始め、いつの間にやら某速度の2倍で走っている。しかし、それでも全く恐怖感が無い。それにストレスもまるで感じない。感動する事しきりである。

何故これだけ楽なのかを走りながら考えてみる。カウルによる防風効果が大きいこと、エンジンの振動が少ないこと、エンジンの反応がマイルドかつフラットトルクなので気を使わなくて良いこと、回転を上げても五月蝿くならないこと、等の相乗効果なのではないだろうか。そしてその結果、ハイスピードをキープしても疲れないのだろう。

さらに横浜新道を経由して帰宅。あっという間だった。しかも、初めて乗って緊張かつ興奮していたことを差し引いても、体には殆ど疲れを感じないのだから大したものである。BMW恐るべし、の初走行であった。


Over 100,000km Project