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1999/9/12 ジ・エンドレス・錆 (2)

もう9月だというのに相変わらず暑い。この週末も暑いということは判りきっていたので、錆び取りなんかさっさと放り出して日曜の朝から波乗りに行くことに決めてしまっていた。そして朝5時に起き、知人とともに大磯に向かうと、何とそこは山中湖級のまっ平らな太平洋。傷心の帰宅をする羽目になった我々は、その腹いせに何故か錆び取りを始めることになってしまった。まだ朝の6時だというのに錆び取りなんかすることになるとは。朝早いのであんまり暑くないのがせめてもの救いだ。

駐車場に赴いてJR130のカバーを外す。リヤバンパー近辺には相変わらず錆びがポロポロ落ちているのが何ともみっともなくて、あんまり人に見せられるものじゃない。このままリヤバンパーを外して、アンダーフロアの錆び取りをしようかとも考えたけど、折角人がいるんだから、そんなみみっちい作業をしているよりもフロントバンパーでも取っ払ったほうがマシだ。そうだそうだ、そうしよう。早速JR120のトランクから工具を取り出してボンネットを開ける。何となくバッテリーのターミナルをつけてみてエンジンをかけようとしたら、このバッテリーはターミナル外していたにもかかわらず上がってしまったようで、セルはちょっと回っただけで元気なく止まってしまった。何てこったい、この間充電したばっかりなのに。

こんなことで参っていては先に進まない。何しろ相手は悪名高き牽引フック共締めバンパーだ。それなりに気合いを入れて臨まなければならない。とりあえずグリル・ライト・アイリッドの3点セットを外しにかかる。ついでに邪魔くさいインテークのパイプも外す。さらにフロントをジャッキアップして、エンジンのアンダーカバーの所にある2本のネジも外す。俺が全く迷うことなく凄い勢いで外していくのを知人は呆れ顔で見ているが、何と言っても俺は1日で3組のアイリッドを意味も無くかっぱいだ男だぞ、こんな程度のことは朝飯前だ。が、しかし、ここまでは単純にネジとクリップを外すだけなので何てことないけど、問題はここから先だっていうことは前にさんざん苦労したので痛いほど判っている。何しろJRのフロントバンパー外しときたら固い・狭い・揚げ句手を車体にぶつけて痛い、の三重苦と戦わなければならない。これがJR120だったらメンドクサくて全然やる気にならないけど、JR130はインタークーラーなんていうものは無いのでまだマシだ。まずは邪魔モノが少ない右側にKTCのロングストレートメガネを突っ込む。このためにわざわざ2,000円もの大金を払って買ったのだ。外れてくれないと困る。ボルトの頭にレンチを合わせてジワジワと押す。下手に力を入れて馬鹿力で押したりすると、ボルトからレンチが外れて柄がボンネットを直撃したりする羽目になるので慎重に「ン〜〜」とか言いながら息を止めて押しているうちに何とか緩んだようだ。あー助かった。こんな所にあるボルトが折れようものなら俺には対処不可能だ。もう1本は場所的にメガネが入らないので、仕方なくラチェットにソケットを装着して回す。これも外れた。予想外に簡単に外れたので多少気が緩む。ついでにボルトも緩んでくれればいいのに。

気が緩んだのがいけなかったわけじゃないだろうけど、左側はなかなか緩んでくれない。そもそもこんな所にエアコン関係の部品があるのがいけない。邪魔くさくて折角のロングストレートメガネが入らないじゃないか。仕方がないのでラチェットにエクステンションをつけてみたり、バンパーの下からロングストレートメガネをつけたりして格闘していると、何とか1本は外れた。でも、残りの1本がどうしても外れてくれない。何しろレンチが動く範囲が5°くらいしか無いんだから力の入れようもない。ラチェットの柄に鉄パイプでも差して強引に引っ張りたいところだけど、あいにくうちにはそんな都合の良いものはない。シャレでフロアジャッキの柄をスライドハンドルに差してみたりしたけど、そんなものが効果がある筈もない。うーん、困った。困ったとかクソッとか言いながらも色々試行錯誤してみても、やっぱり全然緩む気配が無い。

仕方がないので最後の手段に出ることにする。今までは素直にステーを車体に止めているボルトを外そうとしていたのを、今度はステーとバンパーを分離させる戦法に方向転換することにした。そもそもJR120なんかだとインタークーラーなんかが邪魔だからこの方法でやるのに、変に意地になってまっとうな方法でやろうとしたりするからこんな所でつまづくのだ。とりあえず右側から始める。片側につき2本あるボルトを外そうとしてラチェットを突っ込もうとすると、触っただけで錆びがポロポロと落ちてくる。あーあ、なんだか嫌な予感がするぞ。しかし、思ったより簡単にボルトが外れた。調子に乗って左側に移る。1本は簡単に外れた。でも、もう1本がなかなか取れない。今まで予想外に簡単に外れていたので強引にラチェットを動かしているうちにボルトの頭がナメてきてしまう。これはマズイ。調子に乗ってしまったことを反省しつつ慎重に回していると、急に手応えが変わった。ん、これはもしかして....嗚呼、やっぱり。

折れたボルトと引き換えにバンパーが外れた。

マッタクしょうがねえボルトだ。最後の最後に折れやがって。でも、何だかんだでバンパーは外れたおかげでそれほどショックは大きくない。さて、残るはフェンダーに止めている両端を外すだけだ。念のためフェンダーの裏からナットを緩めてみようとしても、ここも当然のように錆びているので緩めようとしても殆ど無意味だ。仕方がないので強引に押す。これがまた困ったことに、フェンダー自体が錆びているので妙に固い。CRC5-56を吹いたりしながら、早くバンパーが完全に外れたところが見たい一心で意地になって押す。こんなの外したことが無い知人はボルトを外したほうが良いんじゃないか、とか言うが、そんな必要が無いことを知っている俺はその言葉を気にせずにガンガン押す。すると、ズルッ、とバンパーが外れた。反対側も同じように無理矢理外す。ふぅ、やっと外れた。何だ、もう8時過ぎじゃないか。一体どうしてたかだかフロントバンパーを外すだけでこんなに時間がかかるんだよ。ようやく落ち着いて一服する。しかし、外れたバンパーと、ボデーに残ったステーを見ていると、それほど大きくなかった筈のショックがまた大きくなってきてしまう。とにかく酷い錆びだなこりゃ。バンパーだけ見たらリヤよりよっぽど酷い。あーあー、何でこうやって人の命を守る部分が錆びるんだよ。さてはどうせすぐにぶつけて部品交換する羽目になるんだろうとか言って材料をケチりやがったないすゞの設計部門め。だったらちゃんと部品の在庫も大量に用意しておきやがれコノヤロー。ブツクサ文句を言いながらステーをボデーに止めている残り1本のボルトを外す。今度はバンパーが無いので前からロングストレートメガネを突っ込んで思いっきり回す。スッ、とアッサリ回ってしまった。何だ、簡単に外れるじゃないかチクショウ。ついでに牽引フックも何となく外す。

思わず興奮状態でバンパーを外してしまったので、落ち着いて車体側をチェックしてみる。あーあ、こっちも錆びてるなー。ライトのステーが錆びてるからやばいと思ってたけど、やっぱり下回りまで錆びがきてやがる。水平な部分の鉄板はまあ許してやるとしてだなあ、何でこんな密着した垂直部分が錆びるのかさっぱり判んねえぞ、また例によって水が溜まるような変な設計しやがったないすゞめ。あーあー、ボルトまで思いっきり錆びてやがる。こりゃダメだ、下手にこのボルトを抜こうとしても折れるに決まってる。こんなの適当に上っ面の錆びだけ取ってPOR-15で覆うしか手がないじゃねえか。ああだこうだと難癖をつけながら他の部分も見てみる。強引に押した左フェンダーとの接合部は、既にサビサビだったフェンダーが脆くも捩れて情けない状態になっている。このフェンダーは最初から捨てるつもりだったのでどうでも良い。ま、全体的には思っていたより酷くなかったので良しとしよう。そう思ってないとやってられん。と、思い聞かせる。

さあ、あとは骨とガワを分離させるだけだ。例によってキャンプ用シートの上にバンパーを載せ、8mmのメガネを手に取ってバンパーの前に置いた折畳み椅子に座る。そしてボルトを回そうとすると、いきなりスカッ、と空回りしてしまった。

錆びが酷すぎて、触ってもいないボルトの頭まで無くなってしまっていた!

おいおい、いくらなんでもそりゃないだろう。仕方がないので他のボルトを回そうとしても、やっぱりスカッ、スカッの繰り返し。だからって7mmのスパナがきちんと嵌まるわけでもない。ボルトの時点でコレだ、先が思いやられる。仕方がないのでCRC 5-56を吹いて、プラハンでひっぱたいて暫く放っておく。一服しながらどうやって外すか考えてみるが、こんなのバイスプライヤーで挟んで回すくらいしか手はないじゃないか。早速回してみると、リヤと同様すぐにボルトが折れる。判りきっていたのでそんなこと気にもしないでガンガン回す。回すたびにボルトが折れる。掴む・回す・折る、を16回も繰り返すのは非常にいまいましいことこの上ない。そしてやっと残りあと1本になったところで、今度はバイスプライヤーがスカッ、といってしまった。気を取り直してまた掴んでみても、やっぱりスカッ。しまった、強引に掴みすぎたせいで、どんどんボルトの頭が無くなってしまうではないか。何とか外そうとして慎重に掴んでも既に手遅れ。遂に掴む場所まで無くなってしまった。うーん、残り1本だというのに何ということだ。既に時間は9時30分。段々暑くなってきたし、もう疲れた。急に面倒な気分になってきてしまったので、バンパーを元あった場所に戻して、工具を片づけて部屋に戻ってしまった。そしてその夜、人目を忍ぶようにマンションの中をバンパーを持ち運ぶ不審な男が現れたのは言うまでもない。


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