America Report Part 6 Are we gentlemen???

研修2日目の朝が来た。前の晩早く寝たので、早起きでも気分が良い、と言いたいところではあるが、どうにもヒルトンの布団は馴染めないのでやっぱり眠い。こんなグニャグニャしたベッドでは良く眠れるはずがない。デブの米国人では沈んでしまうのではないだろうか。そして昨日と同じように新聞を眺め、コーヒーを淹れ、着替えをして、ホテル前で一服して、某S社へと向かう。

今日はそんなに早く行く必要は無いだろう、ということで、8時50分の出社である。例によって講師のDanしかいない。我々もおもむろにパン&コーヒーをむさぼる。今日は昨日と違ってデニッシュではなくただのパンである。この方が具合が良い。ただでさえクルマでしか行動していないのだから、甘いものばかり食っていてはデブ化してしまう。9時になると、ぼちぼち他の人も出社してきて、適当な雑談の後に研修が始まる。

そして研修が始まって30分経った頃、あの半導体メーカーM社のデブ女が昨日と同じようにコーヒー&新聞片手に出社してきた。新聞がホテルで配られるUSA TODAYであることが何か気になる。もしかすると同じホテルなのではないだろうか。だとしたら、歩いたって10分もかからない距離なのだから、こいつは確信犯である。全く困ったヤツだ。

研修は前日と同じように淡々と進む。今日はダイアログにボタンをつけてどうたらこうたら、なんてことをやっている。Visual Basicなんかを使っている人には造作もないことだが、これをM某というソフトでやると中々難しいものがある。俺はこんなのは独学でクリアしていたのでどうでも良いのだが、前に座っているデブ2人はまるで出来ないようだ。我々はすぐに出来たので悠々としているところに、またDanがどうだ、と背後から迫ってきた。今回は攻撃を前もって予想していたので、大丈夫だ、ほら見ろ、とばかりにきちんと動作しているところを見せる。Danもすぐに納得する。

我々はあっさり終わったが、どうも他の4組は手間取っているようである。Danはあちこちから呼ばれて忙しそうである。前の2人も出来ないようで、突然その重そうな体を回転させ、我々に「動いているか?」なんて訊ねてきた。問題ないぞ、と答えると、そうか、とばかりにまた画面を見ながらプログラムと格闘し始めた。英語力があれば教えてやるところだが、下手に手出しするとどうなるかわかったものではない。ここは放っておくに限る。Danはあまりに暇そうな我々を見かねて、応用問題を提示してきた。このボタンを押したときに○○が××になるようにしろ、ということなので、そのように組む。この会話もやはり先輩には理解できなかったようだ。俺は勝手に組み始めてしまう。すぐ終わった。しかし周りは全然駄目だ。Danがまた「どうだ?」と聞いてきた。出来たぜー、と見せると、Danは他の連中が出来なくて、研修が進まなくて困ったもんだ、なんていいながら例の外人ポーズを見せる。やはり本場のポーズは一味違う。ように見えた。

結局ろくに進まないまま昼食の時間となった。今日こそはメキシコ料理にしよう、と行ってはみるが、今日も混んでいる。じゃあインドか、ということになったが、何となく気が進まなくてパス。結局ベルビュー・スクエアに行くことになった。ここも店がうじゃうじゃあって困る。ふと中にマクドナルドがあったのを思いだし、一度くらいは食ってみよう、ということになりこの日の昼食はマクドナルドに決定。

いざ本場のマクドナルド突入。店内の雰囲気は日本とまるで変わらない。メニューも似たようなものだ。レジの前には人が並んでいるのだが、どうにもこのシステムがつかみきれない。まあどうでも良いとして一番後ろに並ぶ。そして俺の番だ。やはりここは最高級を、ということでビッグマックとオレンジジュースを頼む。3ドル53セント、なんて言うので払うが、何故か俺の払った額にケチをつけている。俺が払った3セントに対してケチをつけているようだ。これじゃなくてニッケルだ、とか何とか言っている。否、ニッケルじゃなくてナントカ、かもしれん。しかし何だ、そのニッケルってのは。よくわからんので手持ちの小銭を見せると、これだ、と銅色の1セントを指差す。良くわからんがここは素直に従ってこれを3枚出すと、ようやく会計が終わる。あとはおきまりのHere , or go なのでHere、で済ませる。

とりあえずは席に着き、先程の疑問を解決すべくコインを眺める。銀色のそれには1dimeと書いてある。そして銅色のそれには1centと書いてある。俺は勝手にdime = centだと思っていたがどうも違うようだ。ドル、セント以外にまだ何かあったか、と思い手持ちの電子辞書で調べると、何と1dime = 10centなんて書いてあるではないか。何だそりゃ、聞いたことないぞ、そんなの。俺は勝手にdimeもcentも同じだと思っていたら実は違うのか。そんな単位があるなら、25セントコインには2ダイム5セントとか書けばいいじゃないか。大体何で金の単位がそんなに沢山あるんだ。米国の考えはよくわからん。

それは置いておいて、とりあえずは飯だ。米国のビッグマックは、日本のそれと見掛けは殆ど変わらない。そして味も殆ど変わらない。何だこりゃ、面白くも何ともないぞ。全く、こんなのまで日本の真似しやがって....じゃない、日本が真似したんだった。すぐに食い終わってしまったので、外に出て一服する。

smoking ベルビュー・スクエアから会社を望む。数少ない喫煙ポイントである。

そして楽しい一服も終わってしまい、午後の研修が始まる。朝はテキトーに出社してきた連中が、終わっていないせいもあるのか開始前からマシンに向かってああだこうだと悪戦苦闘している。我々は悠々とコーヒーを飲んだりしてその光景を眺める。指の太い人がキーボードを打つのは大変だろうなあ、なんて下らないことを考える。しかしDanは非情にも彼等に対しプログラム作成の中断を言い渡し、次の章から研修が始まる。

ここもまた似たようなもので、やはり我々はすぐに終わり、他の連中は悪戦苦闘、という図式である。しかし米国人は食うことだけは止めないようで、プログラムが組めなくて困り果てると一服ではなく何かを飲み食いするようである。部屋の外のパンとコーヒーはどんどん無くなっていく。こんなに食ってばかりいるのなら、逆に煙草の方が健康に良いのではないか、と思えてくる程である。我々もやることが無いので暇になると何か食いにいってしまう。やばい、米国病が移りつつある。

そして午後の研修も終了。今日は簡単だったので何もやらないうちに終わってしまったような気がする。しかし問題は研修ではない。その後の晩飯をどうするかのほうが大問題である。別に何を食いたいというのが無かったので、とりあえずはシアトルの紀伊国屋に朝日新聞国際衛星版を買いに行くことにする。

この時間は会社から帰宅するクルマが多いため、シアトルまではかなり時間がかかる。1時間近くかかってようやく紀伊国屋到着。とりあえずは壁に貼ってある野球速報を見る。すると、またも横浜がヤクルトとの差を詰めているではないか。新聞を買うのにも力が入る。ここは是非とも日刊スポーツにも頑張って国際衛星版を出して欲しいものである。とりあえず今日は新聞だけ買っておしまい。一階の日本食品店、宇和島屋に行く。店内を回ってみると、寿司やら何やらの弁当が売っている。昼間さんざんパンばかり食ったし、レストランを探すのも面倒なので今日はこれで済ますことに決定。イナリ寿司や巻き寿司の中からちらし寿司らしきものを選択。本当はみそ汁も欲しかったところだが、ここはぐっとこらえることにする。

さあ食い物も買ったことだし、あとは帰って寝るだけである。しかしこのまま帰っても面白くないので、ホテルの近くのパソコン屋「Comp USA」に行ってみる。車を停め、今まで通りパスポート等の入った鞄を持って店内に入る。横には開かず、普通のドアのように開く変な自動ドアを通り過ぎると、ガードマンらしき黒人の爺さんが「He----y, Ge--ntleme---n」なんて言っている。ん、何だ、変なことしたか? と思ったら、鞄を持って店内に入ってはいけないらしい。咎められはしたものの、Gentlemenと言われては我々も悪い気はしないものである。鞄を車のトランクに入れ、再び店に入ると今度は爺さんはにこにこしながら何も言わずに通してくれた。いい人だー。

店内は日本のパソコンショップと大して変わらない。値段もそんなに猛烈に安いという程ではない。しかも本体もソフトもPC/AT互換機ばっかりなので全然面白くない。肝心のMacintoshは本体は1世代前のPerformaが隅っこにあるだけで、ソフトに至ってはPCの10分の1位しかない。米国ではMacintoshは既に過去の遺物になりつつあるとは聞いていたが、実際に目の当たりにするとかなりショックだ。まあシアトルはマイクロソフトに汚染された街だから仕方がない、と自分を無理やり納得させ、結局何も買わずに店を出る。

そしていつも通りホテルの前で一服をして部屋に戻る。さて、寿司でも食うか、と思ったら何故かフロントから電話でメッセージが入っている。一体何が起こったか。とりあえず電話機を操作して聞いてみるのだが、やたら早口で何を言っているのかさっぱり判らん。もう一度聞いてみるが、やっぱり判らん。もっとゆっくり言ってくれれば判るかもしれないが、ここまで早いと絶対判らん。気になるが、わざわざフロントに聞き直すのも面倒なので、どうでも良いと放っておくことにして、飯を食う。

さて宇和島屋の寿司であるが、例によって米がまずいのであまりぱっとしない。上に乗っている魚達は、まあ日本の小僧寿司程度であろうか。でもやっぱり全体的に大したことない。とにかく腹は埋まったので、きょうもさっさと寝ることにする。どうも英語に囲まれた生活をしていると、特に運動しているわけでも何でもないのに疲れて仕方がない。とりあえず風呂に入り、チョーヤの梅酒を飲みながら朝日新聞を読みつつ一瞬の日本的時間に浸り、今日も前日に続いて10時過ぎには寝てしまったのであった。

Part 7 ファミレスは恐ろしい所です



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