America Report Epilogue あの研修は一体何だったのか?

どうにかこうにか研修を終え、特に何事もなく無事帰国した俺を待っていたのは、しばしの休息ではなく出社であった。何故このような時差ボケという人間の生理現象を無視した行為が出来るのか甚だ疑問であるが、上司が泣いて頼み込むので仕方なく午後から出社した。どうせ大してやることもなかろうと思ったら、案の定特に無く、出張中の費用の精算を終え、翌日の名古屋出張のための新幹線の切符を貰ったにすぎなかった。それだけなら別に出社しなくても駅でもらうとか何とかすれば良いではないか。全く良く判らない会社である。

そして名古屋出張も終わり、出張報告書でも書くのかと思ったら、上司は別に必要が無ければ書かなくても良いなどとのたまうではないか。本気で書くのを止めようかとも思ったが、それでは行った意味が無いだろうと親切心を出して書いてやることにする。聞いても無駄だと思いつつ、一応先輩に誰がまとめるかと聞いてみるが、案の定お前がやれと仰せられた。まあ研修中は殆ど俺がDanとの応対をしていたのだから、聞くのが野暮だというものだろう。あまりやる気もしないのでのんびりと書く。

さて、ここまで終われば一応今回の出張はお終いだ。あの研修に出席したのは我々だけなのだから、さぞや他の社員から色々聞かれるかとビクビクしていたのだが、全くそんな気配は無い。研修の資料を見せろという人も居なければ、内容をもっと詳しく教えろなどという人間は当然居ない。さらにはせっかく俺が作った資料も、周囲の状況を冷静に判断する限りまるで使われていないようである。そんなことは他人のソースコードを見れば一目瞭然だ。「こういうことはやってはならない」ときちんと書いたのにそういうのがうじゃうじゃ使われているんだから。これでは何のために行ったのか判らないではないか。道理でいつまで経っても生産性が上がらない筈である。

そして暫くすると、上司が今度のセンターミーティングで出張報告してくれと言う。ようやくやる気になったかと思ったら、研修内容ではなく感想を聞かせてくれなどと言うではないか。どうもこの会社には人を研修に出したという意識はなく、単に旅行させてくれただけなようである。いやー良い会社だ。会社の金で米国に旅行させてくれるなんて。それならそうと早く言ってくれればよかったのに。そういえば、以前に研修を受けに行った人の出張報告書なんか一度も見たことが無いな。その理由がようやく判ったぞ。旅行なんだから出張報告なんか書く必要が無いのだ。

というわけで、あの研修は実は単なるバケーションだったのだ。はっはっは。

そしてそんなことも忘れた頃、今度は1年程米国に常駐しないかという話が来た。いいねえ、1年間のバケーション。と思ったらその話はボツになってしまった。残念でした。



はい、これでお終い。次の海外出張をお楽しみに.....もう無いと思うけど。



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