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Diary


(2000/08)


[ Gate ] 2000/08/31(Thu)
いまの職場の建物は至る所に電子ロックが導入されていまして、普段は社員の通用門みたいなところから建物に入っているんですけど、2階にある職場に辿り着くまでに2回もその電子ロックを解除しなくちゃいけなくて、ということは煙草を吸いに外に行くだけでもそのキーカードが必要だったりして、はっきり言って邪魔くさいです。他の職場だと、エレベーターの扉を開けるだけでもカードが必要みたいで、何でこんなに面倒にするんだか良く判りません。

これらの電子ロックは当然ながらどっかのコンピュータで総合管理されているわけで、誰もいなくなりそうな時間になると普段は開いている扉でさえもロックされてしまうんですけど、その時間というのが何と午後の5時。この時間を過ぎると、トイレに行くのでさえもキーカードが必要なのです。5時ですよ、5時。日本じゃまだ誰も帰ってないでしょうに。

まあそんな感じなので、みんな大抵5時から6時の間にはさっさと帰ってしまう職場なんですけど、今日は納期直前だっていうのにバグが出たせいで8時頃まで会社に居まして、あーあ疲れた、さっさと帰るか、とばかりに車に乗って帰ろうとすると、何と途中にあるゲートのデカい扉が閉まっているではありませんか。これは困った、こんなのどうやって開ければいいんだかさっぱり判らん。試しに引っ張ってみても、完全にロックされていてビクともしない。うーん、実はどっかに社員用の抜け道でもあるのか? と思いながら2枚ある扉の入り口側を動かしてみると、何とか動く。でも、動くのはちょっとだけで、とても車が通りそうなまでは開かない。そこで辺りを見回してみると、扉の向こう側に何やら機械がある。人が抜けられる程度にはその扉は開くので、隙間から向こうに行ってみると、案の定いつもの電子ロックの受光マシンがありました。そこにキーカードを当ててみると、ガ〜〜といいながらそのデカい扉は開いていったのでありました。しかも入り口側だけ。

あーやっと開いた、さあ帰るぞ、と車に乗込み、ダラダラと扉を抜けて、さてこれはどうやって閉めるんだろう、と思ったところに、背後からここぞとばかりに2台ほど車が抜けてきまして、これは多分建物の電子ロックみたいにある程度の時間が経つと勝手に閉まるんだろう、ということにしてさっさと帰ってきてしまったのであります。まあ後ろの人も何もしないで俺の車についてきたから多分そうなんだろう。しかしそういうテキトーな考え方の罰が当たったのか、帰宅途中にインターステーツを走行中に、石ころだか何だかが飛んできて我がFocus号のフロントガラスを直撃して、見事なヒビが入ってしまったのであります。オイオイ、またあのレンタカー屋に行かなきゃいけないんですかい。さすがに今回はYeah.は通用しないぞ。



[ 1 month anniversary ] 2000/08/30(Wed)
あーあ、こっちに来てからもう1ヶ月経ってしまいましたよ。この1ヶ月の間、日本語の会話をしたのは2回だけで計4時間程度、紙に日本語で字を書いたの至っては何かの時に走り書きした数行だけ、さらには一度も寝坊して午前半休しなかったという偉業を成し遂げたりと、まるで俺らしからぬ生活態度だった割には、今まで何度か突然米国人に話しかけられたりした時に、その意味をまともに理解できたのは一度もなかったりして、兎に角よくまあ生きてたなあって感じ。とりあえず何でもかんでもYeah.で誤魔化しても別に死にゃしないってことが判ったのは大きな収穫なのであります。

そんなわけで1ヶ月記念日はまともな晩飯でも食おう、ということで、珍しく7時まで残業した後に、何やら有名なステーキ屋らしい"Montgomery Inn"を目指したワタクシではありましたが、住所的にこのへんに違いないとおぼしきところをウロウロしても全然見つからず、結局諦めてその道沿いにある日本料理屋のMEI、ではなく、その隣にある印度料理屋"Tandoor"に行って参りました。

妙に重々しい扉を開けると、カウンターでは印度人が数人談笑していて、その奥の方は外見から想像がつかないくらい広い空間に客が4組、というちょっと寂しい雰囲気。店内を見ながらキョロキョロしていると、印度人とおぼしき中年女性が席に案内してくれる。カレーでも食うか、と思ったけど、1ヶ月記念日なので"Chef's Special"なんていう豪勢なものを頼んでしまう。$18.95は高いけど、たまにはいいだろ。普段の晩飯は$3くらいなんだし。スパイシーにする? と言うので、そうしてくれと言ったら、ハードなスパイシーがいいか? なんてさらに追い打ちをかける。印度料理が本気で辛さを目指すと大抵とんでもなく辛いので、レギュラーなスパイシーにしておく。レギュラーなスパイシーってのも、そもそも意味不明なんだけど。

最初に出てきたのはスープとサラダ。厨房のオッサンが自分で持ってくるところが面白い。これはナントカカントカ、と言っているけど、例によってさっぱり判らない。スープとは言っても、具や香辛料が沢山入っていて、これをライスにぶっかけたら充分カレーになりそう。スパイシーと言うだけあってちょっとだけ辛め。でも美味い。暫くすると、また厨房のオッサンが出てきて、皿だけ置いて「今から持ってくるから」なんて言う。すると、鉄板の上に焼き立てのチキン、魚のフライ等を持ってやってきて、またしてもこれは○○で、こっちは××、なんて言いながらさっきの皿に置いていく。最後に炒めた玉葱を置いて、これにかけるレモンは今持ってくるからな、なんて言って去っていく。玉葱は嫌いだから別に要らなかったんだけどなあ。

これにカレーとナンくらいで終わりか、と思ったらとんでもない。続いてカレー、サフランライス、ナン、名前は忘れたけどよくありげなカレー粉みたいなので炒めた野菜炒め、と一気に持ってきた。しかも日本の印度料理屋のセットやコースでよくありげな、お通しの小鉢に入れたようなセコいカレーではなくて、日本では一品もので出しそうなくらいの量のカレーだったりする。

既に前菜のスープとサラダで腹4分目まで埋まっていた俺にはどう見ても無理。カレーにしても、チキンにしても味は非常に良いのに、段々何食ってるんだか判らないくらいに腹が膨れてきたのでいよいよ降参。腹の15分目くらいまで来て、どの料理もまだ半分近く残っているではないか。野菜炒めなんか結局手つかずだ。案内してくれた女性は2回、3回とコーラのおかわりはどう? と聞いてくるけど、勿論ノーサンキューだ。腹が膨れすぎてそれどころではない。一体誰がこの料理を全部食うんだろう。厨房のオッサンも出てきて、どうだ、と聞いてきたが、俺は普通に答えたつもりなのに、多分表情が苦しそうだったのだろう。怪訝な顔をして去っていく。

そして重い体を持ち上げて店を出たら、既に外は暗かった。何時の間にやら時間は9時になってしまった。それにしても、こっちのレストランってやっぱり一人で来るところじゃないね。金払うだけで何だかんだで10分くらいかかったりするし、一人だと暇な時間が多すぎ。さっさと外に出て煙草吸いたくても、それすらできない。そんなわけで、たまたま後から入ってきた日本人3人組が、メニューを指差しながらあれやこれや店員と格闘しているのを面白がって見ていたのです。あまり英語が得意じゃない人が何人かで来ると大抵ああなるんだよな。一人だと逆に開き直れるんだけど。勿論、まともに理解してるわけじゃなくて、判んないのにはYeah.って言ってるだけ。嗚呼、Yeah.を使わずに注文できる日は来るのだろうか。



[ The truth of the lambs ] 2000/08/29(Tue)
ちょっと前に"THE SILENCE OF THE LAMBS"のテープを買った、なんて書いたら、その本はこれこれこういう奴で、映画では誰が出ていて、その続編は××で、なんて教えてくれた親切なメールが何通かやってきたりしてちょっとビックリしていたんですけど、それらのメールを読む限り実はあの物語は恐いお話だったみたいで、そんなことすら知らずにアレを買って、しかもテープを聞いていても「これは恐いんだ」ということすら理解できなかったりするので、とりあえず今後はこれは怖い話なのであるという大前提を念頭において聞いてみようかと思っていたりします。ちなみに本はまだ買っていないのでホントに何が何だか判らんのです。まあ本があったところで英語じゃ大差無いわけですが。

そんなわけで、主人公らしきスターリングという奴が女だってことが判ったのもつい最近(テープのA面ばっかり15回くらい聞いた後)だったりするので、多分帰国するまで、否、何年経っても真相は闇の中なのでしょう、きっと。少なくとも今朝みたいに寝坊してインターステーツを爆走するのに夢中だったりして、テープなんか何も聞いていないようではいつまで経ってもダメですな。



[ HUNGRY-MAN ] 2000/08/28(Mon)
米国のスーパーで売っているもので、特に米国らしいものの一つに、冷凍食品がある。他にもバケツに入ったアイスクリーム等、挙げればきりがないが、冷凍食品の種類、量の多さも特筆モノだ。そんなわけで、この間MEIJERに行った時、別に用もないのに、どんなものがあるのか見てみたのだ。

そもそも日本の俺の部屋には電子レンジが無いので、日本の冷凍食品とはあまり比べようもないが、まあやっぱしデカイ。一人で食ったら1週間くらいもちそうなくらいデカい袋に入った肉だの何だのが並んでいる。勿論ピザなんかも売っている。さらには、シンシナティ名物らしい「チリ」も売っている。しかも冷凍食品屋が出しているものではなくて、ちゃんとしたSkyline Chilli製だ。さらに探すとチャーハンなんかも売っているが、こんなのは多分日本でも売っているだろうからあまり面白味が無い。さらにウロウロしているうちに、ステーキだのコーンだのが一皿に入って冷凍されたものが売っているのを発見した。まあそれだけでは特にそそるものは無いが、それらの中に"HUNGRY-MAN"という名前のものを発見した俺は、思わずそれを手に取ってしまったのだ。

例えば「ビヤガーデン」が「ビャーガーデン」なんて書かれていようものなら5分間笑い続けられる俺には、こういうダイレクトな名前が妙にツボを突くのである。確かにHUNGRY-MANを名乗るだけあって、他のものより一回りデカイ。だからといって値段が高いかというとそれほどでもなく、これ1つで$2.69と、他のより40セントくらい高いだけである。裏側を見ると、レンジで調理可能らしい。それを見た俺はさっさと買い物カゴに突っ込んでしまったのである。ビーフ、ポークと色々あったが、自分で作る機会が少なそうなチキンを選ぶ。

そして今日はそのHUNGRY-MANを食す日である。こういうのは、月曜日みたいに体がついてこなくて何もする気がしない日に食うに限る。箱から出し、説明に従って一部のビニールを剥がし、レンジのパワーを50%にして13分間加熱(?)する。それだけで出来上がりとは何たる簡便さ。これだけでは味気ないような気がしたので、シリアルを添えてあっという間に晩飯の完成だ。

さて、早速食うとしよう。真ん中の赤い色をした林檎の毒々しい色が米国らしさを醸し出している。しかし、味は意外や意外、極めてまともである。チキンも、マッシュポテトも、まともなのだ。しかし何だかこんな皿に入れられていると飛行機の機内食みたいだな。まあいいや、そこそこ美味いし。そしてHUNGRY-MANの名に相応しく、元々小食な俺の腹は満腹となったのである。でもこれ、よくよく考えてみたらAmPmで売ってる弁当と同じシステムじゃないか。そう思ったらちょっとガッカリ。



[ Airshow ] 2000/08/27(Sun)
今日こそエアショーに行かねばならん。しかしまたしても寝坊。明け方に物凄いThunderstormが来て、それで何度も叩き起こされたのが敗因だ。自分のせいではない。神に誓って俺のせいではない。まあ起きたのが11時だったのがまだ救いではある。デモフライトは1時かららしいので、それまでに行かねばならない。Webで大洋の大勝を確認し、続いて地図でLUNKEN Airportの場所を確認する。どうやらRIVERBENDのすぐ近くらしい。ここなら楽勝だ。早速Focusに乗ってLUNKEN Airportへ。

誘導に従って空港に入る。多分この辺りでは毎年恒例のお祭りみたいなものなんだろう。結構人が多い。年寄りも若いのもガキも楽しんでいるのもいつも通り。詳細はこっちに書いたので暇な人はどうぞ。ところで、日本だとエアショーってどんな感じなんだろう。多分厚木基地なんかだと隅っこの方には「夜間練習反対!」なんて団体が居るんだろうなあ。こっちはどっちかというと我らがUS NAVYみたいな感じ。まあどっちが良くてどっちが悪いなんてのは野暮だから止めておこう。Pearl Harborの責任を取れとか言われても困るし。まあそんなこと言われたら広島と長崎の責任を取れと言い返すだけだけど。

適当にウロウロして、3時半頃に空港を後にする。ふう、久々に炎天下(というほど暑くはないけど、最近にしては暑かった方)を行動したら妙に疲れたぞ。時間が中途半端だったので、何となくKentucky側のNewportという所に行って、Ohio riverの反対側からCincinnatiのダウンタウンを眺めたりしているうちにも、足が随分重く感じられたりしているあたりが情けない。たかだか3時間程度ウロウロしただけでこんなに疲れるとは。こりゃ運動不足も極まったな、このままだと間違いなく太るに決まってる。そんなわけで、帰りにMEIJERに寄って買い物して、晩飯は米国名物のシリアルとサラダだけにしてみました。でも、太った米国人もこれ食ってるんだよなあ。じゃあ全然意味無いじゃん。



[ Newspaper ] 2000/08/26(Sat)
気がつけばもう4度目の週末。今週は土日にLUNKENというCincinnati郊外にある空港(こっちでは空港が至る所にある)でエアショーがあるので、土曜日はそれを見に行って、日曜日はKentucky Speedwayにレースでも見に行こうかなあ、と思っていたけど、見事に寝坊して破綻。持参した目覚まし時計と、米国名物クロックラジオ(アパートに元々あった)のツープラトン攻撃も敵わず起きたら1時。どうやら土曜日は寝坊の日と考えたほうが良さそうだ。

まあレースはまた何かやるだろうから別に今度でもいいや。明日こそエアショーを見に行くことにして、今日は適当にドライブでもして、その帰りにこの間会社の人に教えてもらった日本料理屋"AKIRA"にでも行くことにしよう。早速前に買った"One day trip from Cincinnati"を物色する。起きてから飯食ったり、Webで大洋の勝利を確認したりしていたので既に3時近いので、遠くは無理だ。そこで、AKIRAと同じ方向にある"Caesar Creek State Park"に行ってみることにする。これはダム湖沿いにある州立公園だ。早速冷蔵庫からコーラを1缶取り出して出発だ。

しかし、折角ドライブに行くなら無意味に走っても仕方がない。車にはセコいオーディオが付いているので、テープでも買っていこう。勿論音楽モノでも良いが、ここは試しに「オーディオブック」なるものを買ってみよう。これは要するに本の吹き込みで、米国では視聴障害者用等として結構当たり前の存在らしい。実際、本屋に行けばそれなりに売っている。で、どっかの英語教授に言わせると「判らなくてもいいからこれをひたすら聞きまくって、どうしても判らなかったらそのテープの本を読んで、意味を確認したりすることはリスニング能力の向上に意味がある」んだそうで、まあ正直言って眉唾モノだとは思うけど、何言ってるんだか判らないラジオをただ聞いているより、何度も聞き直せるだけでも多少は意味があるだろう。通勤途中でも聞けるし。というわけで、途中の本屋に寄ってみる。

しかし、色々ありすぎて何を買えばいいのか良く判らない。ラジオショー物とか、コメディとか、リラックス物とかはとりあえずパスして、本がありそうなノンフィクション物を探す。しかし、英語のタイトルが並んでいても、それを理解するだけでも時間がかかってしょうがない。諦めてスティーブン・キングのものでも買おうかとしていたところに"RED DRAGON"なるものが目に入る。何だこりゃ、ブルース・リー伝説か何かだろうか、と思ったが、勿論そうではない。で、これは何故かもう一つの"THE SILENCE OF THE LAMBS"というものとセット売りで、要するにお買い得らしい。こういう売り方に弱い俺は思わずこれを手に取って考える。うーん、何だその長ったらしいタイトルは。"THE NEW YORK TIMES BEST SELLER"だと? 知らんぞ、そんなの。と思いつつも訳してみると、要するにこれは「羊達の沈黙」ではないか。おぉ、そうか、それなら判るぞ、映画になったやつじゃないか。まあ映画は見てないから中身は知らんけど。何れにしてもこれなら本そのものもありそうなので本コーナーを探す。"THOMAS HARRIS"という作者を元に探すと、確かにこの本は売っている。まあいいだろ、これで。どうせ判んないから何買っても同じだ。というわけで買う。そして気付いたらもう4時。いいのか、こんなことで。

車に戻ってテープを再生する。思ったよりは聞き取れる。しかし、聞き取るのに夢中になっているうちに語りはどんどん先に言ってしまうので、意味を理解するまでには至らない。うーむ、やはり日本語にいちいち訳しているようではダメだ。まあそれは普通の会話でも勿論同じだけど、会話だと相手の言いたいことがある程度言いたいことが予想できるから多少は判るのに、あらすじさえ知らない本だとさっぱり判らん。まあいいや、日が暮れるからさっさと行こう。

本にしたがってUS. 42を北に向かって進む。途中MASONのあたりで道路を封鎖してフェスティバルをやっていたりするので迂回を強いられる。そうか、DETOURってのは迂回路ってことなんだな。そしてLEBANONを過ぎた辺りで、気付いたら道はUS.48になってしまっている。クソッ、こっちはインターステート以外の看板は判りにくくてしょうがないぞ。しょうがないので突き進んでいるうちに、US.73に出る。これを右折して、暫く走れば例の州立公園に着くはずだ。途中さっきまで走っていたUS.42と交差する。道に迷っているうちにカセットブックはますますワケが判らなくなっている。

そして湖の近くまで来る。しかし、どこからどういけば湖岸に出られるのか良く判らない。そんなことをしているうちに、湖をまたぐ橋を渡ってしまい、結局通り過ぎてしまった。しょうがないので道端に停めて本をみてみると、WILMINGTONという町に出て、そこから戻る手段があるらしい。じゃあいいや、そっちに行こう。牧場とトウモロコシ畑の間をガンガン突き進むうちに小さな町に出る。ホントに小さな田舎町だ。多分日本人なんか一度も見たことが無い、っていう人も住民の中にはいるに違いない。ホラ、日本人がやってきたぞ、なんて思っていたら"KARATE"という看板があって妙にガッカリ。

そして今度はUS.68を北に進む。これで湖の北側に出るはずだ。さっきと同じような道をガンガン進んでいるうちに、何時の間にかXENIAの町に出てしまう。ありゃ、これじゃ行き過ぎなんじゃない? と思って、今度は本ではなくてオハイオの地図を見てみると、何てことはない、湖の北側に出る道なんかありゃしないのである。クソッ、この本に見事に騙された。

しょうがないのでXENIAからまたUS.42で南下して、さっき通り過ぎてしまった橋のあたりに戻る。このへんは車もうじゃうじゃいたし、人も多かったから何かがある筈だ。そう思って注意深く看板を見ていると"BEACH"というのが目に入った。ビーチなんて妙に懐かしい響きだ。ここのビーチブレイクはどの程度なのだろうか。看板に従って左折して道を下っていくと、公園のような所に出る。おぉ、確かに湖だ。

駐車場に停めて、ビーチに出てみる。まあビーチはビーチだよなあ、一応砂浜だし。しかし湖だから波などあるわけがない。これでは波乗りできるのは蟻くらいだ。しかもこの波はモーターボートが立てた波に違いない。どうやらここはモーターボートとか、ジェットスキーのメッカのようで、もう7時近いというのにあっちこっちを走り回っている。そういやデカいトレーラーを付けた車を沢山見たなあ。まああまり景色的にも大したことないので、湖岸で一服して帰ることにする。

さて、あとはAKIRAに行くだけだ。そのAKIRAはI-75のEXIT 22を出たところにあるらしいので、とりあえずI-75に行かなければならない。地図によると、さっき走っていたUS.73を西に向かえば出られるらしい。それを信じてひたすら西に向かう。地形そのままにアップダウンを繰り返す田舎道を進むと、SPRINGBOLOというあたりでようやくI-75にぶつかる。ここはEXIT 36か。じゃあそれほど遠くないな。もう8時近いというのに車はそこそこ走っている。それに合わせて淡々と走っているうちにEXIT 22が現れる。確かここを東に向かって、右側にあるTACO BELLの看板が目印だった筈だ。信号を曲がって東に向かうと、あっという間に看板が現れる。こんなに近いと思わなかったので慌ててそこのモールに入る。

確かにAKIRAはそこにあった。漢字では「章」らしい。障子がある時点で完全に日本料理屋であり、ショーウィンドウには漢字で説明書きがあることからして間違いない。しかし店に入って出迎えてくれたのは中年の米国人女性だったので少しガッカリ。MEIは若い日本人女性だったのに。まあ別にいいや。寿司バーのあるカウンター席に着くと早速ドリンク攻撃に遭う。オレンジジュースを頼んだら、無いと言われてしまってコーラを頼む。ホントは緑茶がいいんだけど。

早速メニューを見る。ショーウィンドウを見た時点ではカツ丼で心は決まっていたというのに、「餃子」の二文字を発見すると心がグラつき、さらに「ラーメン」と来たらもうお終いだ。勿論頼むのはラーメン餃子に決まっている。餃子は$4.45、ラーメンは$9.45と少々高いが、そういう問題では無いのだ。米国の地でラーメン餃子が食えること自体が重要なのである。今や米国では何処でも食える寿司なんか食っている場合ではない。そこでラーメンを頼むと、レギュラーか、スパイシーか、なんて聞いてくる。スパイシーなんて言わずに地獄ラーメンとか言って欲しいところだ。まあとりあえずレギュラーにしておこう。

店内はほぼ日本調で、目の前には日本酒が並び、カレンダー等も日本のもので、店員も殆ど日本人だ。俺を案内して注文を取った人だけが米国人である。折角日本人が日本料理屋に来たんだから、日本人に対応して欲しいもんだけど、まあ最近はいい加減注文することくらい慣れたのでどうでも良い。そうして店内を見渡していると、何と椅子の上に日本語の新聞が置いてあるではないか。迷うことなくそれを手に取る。木曜のものだから少々古いが、そもそも1ヶ月近く読んでいないんだから2日くらいは問題にならん。読売新聞というのはちょっと残念だけど、まさか日刊スポーツがあるわけは無いからそういうモンクを言っている場合ではない。コーラをつまみに読み始める。何故か知らないけど顔が笑ってしまう。何故だ、そんなに日本の新聞を読むのが嬉しいのか? しかし笑いは止らない。その笑いも、スポーツコーナーで巨人がサヨナラ負けして、大洋が逆転勝ちした記事を読むとさらにボルテージが上がる。それを邪魔するように餃子が到着する。おいおい、もう出来ちまったのかい。しょうがないので新聞を戻して餃子を食う。

餃子は、まあ餃子である。1年間宇都宮に住んで餃子道を邁進した俺としてはあまり妥協点を付けるべきでは無いのかもしれないが、まあ餃子なのだ。この間自分で作った冷凍餃子よりは明らかに美味い。ちゃんと辣油も付いている。焦げ目もちゃんと付いている。こっちでは餃子なんて前菜扱いなのだろうか、ラーメンが出てくるのに時間がかかっている間に、あっという間に5個食ってしまった。そしてコーラと餃子である程度腹が埋まってしまった俺の前にラーメンが出てくる。

うーん、このラーメンはどう評価すればいいのだろうか。まあラーメン屋のラーメンではないから、日本で言うところの大衆食堂レベルか、田舎のドライブインのレベルで判断しなければなるまい。スープや麺云々を語ってはならん。しかし、モヤシ、キャベツ、人参、蝦まではいいとして、タコが入っているのは何とかならんだろうか。ついでに椎茸とワカメも入っている。まあ前にシアトルで食ったセロリ入りラーメンよりはいいか。そしてスープの味付けも結果としてシーフードっぽくなってしまっている。カップヌードルのシーフード味のまさにそれである。それにしても具の量が多い。やはり米国でラーメンを売るにはそれなりの具を用意しなければならないのだろうか。食っても食っても終わらない。隣に座っているデブの米国人女性は、俺が汗を拭きながら無心にラーメンを食う姿を変な目で見ている。いいか、ラーメンってのは無心で食うもんなのだ。いちいち喋りながらのんびり食うものではないのだ。しかしなかなか食い終わらないので俺もいいかげん疲れる。そしてやっと食い終わる。ふう、腹いっぱいだ。

食い終わったところで、もう少し新聞が読みたくなったので、持ち帰りで焼き鳥を頼む。またしても店員は米国人女性だ。するとコーラのおかわりを持ってきてくれる。こっちではコーラはおかわり自由なところが多い。新聞を読んでいるうちに、米国人の4人組の客が来て、靴を脱いで座敷に入っていく。部屋でも靴を脱がない米国人にとって、レストランまで来て靴を脱がされるというのはどういうものなのだろうか。つまらないことを考えているうちに焼き鳥が来る。何だかんだで$20も使ってしまった。まあいいか、新聞も読めたし。

というわけで、ワタクシは今まさに焼き鳥を食いながらビールを飲むという典型的日本人にとってタマラナイ時間を過ごしているのであります。惜しむらくはこの焼き鳥が二本しか入っていなくて、しかも塩ではなくタレだったことでありましょうか。



[ Noiz ] 2000/08/25(Fri)
米国製の機械と言えば、車にせよ電気製品にせよ大雑把で壊れやすい、というイメージがどうにも頭から離れないんですけど、実際こっちの電気製品は目茶苦茶大雑把でして、とにかく五月蝿いです。

今日会社から帰ってきて、ドアを開けた途端に「あ、今日掃除のオバチャン(かどうかは知らん)来たな」ってのが判るのです。エアコンが物凄く五月蝿いから。エアコンを付けると、テレビの音を2割くらい上げないと聞こえません。

昨日は、着替えが底を尽きたので洗濯してたんですけど、洗濯だけやって乾燥機に入れるのを忘れていて、それに気付いたのが11時過ぎ。しかしGE製の洗濯機&乾燥機の五月蝿さも酷いもんで、ほんの15分だけ乾燥機にかけたのです。パンツだけは何とか乾いたので、Tシャツは一枚余っていたのでそれで良しとしました。隣の人が怒鳴り込んでくるかと思うと、あんな夜中に恐くて洗濯なんか出来ないのです。

そういえば食器洗い機も五月蝿いです。単に水を出しているだけなのに、何であんなに五月蝿いのか判りません。しかも密閉されているのに。排水する時は「ガホッ!」とお爺さんが咳き込むような音を立てまくります。おっと、珈琲メーカーも五月蝿いぞ。何で水を吸い上げて落とすだけなのに、ガガガッ、とかいう機械音が鳴りまくるのでしょうか。そうそう、こんなに五月蝿いものばっかりなのに、トースターでパンが焼けたときに「チン!」って鳴ってくれないのはどういうわけなんでしょうか。マッタク、肝心な時に音がしないんだから困りものです。

あ、1つだけ結構静かなのがありました。それは電子レンジです。でもこれ、Panasonicって書いてあるぞ...



[ Shirts ] 2000/08/24(Thu)
今の勤務先は最近の例に漏れず服装はカジュアルなので、今までスーツ着た人なんか殆ど見たことがありません。まあ日本に居たときもカジュアルだったので、それは別に何の違和感もないんですけど、さすがに短パンの人がデカいマグカップ持ってウロウロしていたりすると、ホントにこれでいいのかねえ、って感じずにはいられません。

そんなわけでみんな服装は適当なんですけど、通い始めて暫くしてあることに気付きました。いわゆるシャツ(Tシャツではなくて、ちゃんとボタンが付いてるやつ)を着ている人は、まず間違いなく裾をきちんとズボンに突っ込んでいるのです。何でなのかは知るわけありませんけど、よくよく見てみると100%の確率で裾はズボンの中なのです。Tシャツ、ポロシャツになると100%じゃ無いですけど、それでも裾を突っ込んでいる人の方が多いのです。こっちはデブが多いので、裾を突っ込むと段差が目立つから止めたほうがいいんじゃない? とか思ったりします。

というわけで、今まで裾突っ込み確率100%だったのを孤軍奮闘して99%に落としていたワタクシも、何となく「郷に入れば郷に従ったほうが良いのだろうか?」とかつまらんことを考えたことがあるんですけど、一度トイレに行くと、出たときには既に元通り、ってな感じで、どうしたって今までの癖は拭いきれないので、きっぱりとそんな風習に従うのは止めてしまいました。実は腹が出てきて、裾を突っ込むとベルトが締められないだけだったりするんですけど。



[ LHD ] 2000/08/23(Wed)
前に行ったロスなんかに比べると大したこと無いですけど、こっちでも「どうしようも無いくらいに壊れた車」ってのが、それなりに走ってます。ライトが両方無いとか、ハッチゲートが無いとか、フロントガラスが割れているとか、日本じゃ絶対に車検に通らなくて廃車になるような車は、やっぱりたまに見ます。

ただ、景気が良いからか、それともここがロスやシアトルじゃ無いからかどうかは知らんけど、3年前に比べるとそういう車は明らかに少なくて、ついでに古い上に無駄に馬鹿デカいアメ車とか、別に馬鹿デカくなくてもちょっと古い車とか、そういうのが明らかに減っていて、ついでに壊れた車も減っていて、何だかんだで走っている車の9割はここ10年、否、7年以内の車なんじゃないか、っていう感じがします。ピカピカな車ばっかり走っているので、何だか米国らしくなくて面白くないのです。

っていうことは、ワタクシが好きないすゞ車だとか、ドロドロ言いながらダラダラ走るデカいアメ車とか、何だあの車は、ボンネットが無いじゃないか、と驚くような車とかがあまり居ないわけで、たまにデカいアメ車を見かけると、それはインターステーツの端の芝生の上で動けなくなっている姿だったりします。

で、そういう不満の声が多かったからかどうかは知りませんけど、今日はあっちこっちで交通事故が多発していて、会社との間を往復する間に5回も事故現場を見てしまいました。しかも揃いも揃って結構派手な壊れ具合でして、そうか、こうやって米国は壊れた車を増やしていくのか、車検も無いからそのまま走るんだろう、これで少しは笑えるぞ、なんて不謹慎なことを考えてしまいました。

こんなこと書いてるとそのうち自分が当事者になるような気がしないでもありません。今日もスーパーの駐車場でぶつかりそうになったのです。ああいうセンターラインが無いようなだだっ広い場所だと、すれ違う時に思わず左に寄っちまうんだよなあ。右側通行なのに。



[ Twice cocked Pork ] 2000/08/22(Tue)
どういうわけか外食すると大抵中華料理屋なんですけど、中華料理って日本でさえ大抵何て読むんだか判らなくて困るのに、こっちに来ると余計にワケが判らないんですよ。大抵の店は漢字と英語が併記してあるけど、漢字は漢字でよく判らんし、英語も知らん単語が出てきたらお手上げ。例えば手元にあるメニューからエビ料理を取り上げてみると、

洞庭蝦
蝦龍糊
腰果蝦仁
宮爆蝦
干焼蝦
魚香蝦

なんて感じで、これだけじゃいくら漢字が読めたところでさっぱり判らん。で、勿論英語も併記してあるのでそれも加えると、

洞庭蝦 (Shrinp in Valvet Sauce)
蝦龍糊 (Shrimps in Lobster Sauce)
腰果蝦仁 (Shrimps with Cashew nuts)
宮爆蝦 (Kung Pao Shrimps with Peanuts)
干焼蝦 (Hunan Shrimps in Ginger Sauce)
魚香蝦 (Szechwan Shrimps in Garlic Sauce)

うーん、判ったような、判らんような。こんな中に「麻婆豆腐」なんていう知っているのを見つけると目茶苦茶安心するワケです。これなら英語を読む必要もないけど、期待通りのものが出てくるかどうかは定かではない。で、もう一つ知っていた「回鍋肉」があったので、思わずこれを頼んでしまったんですけど、これの英語が凄くて"Twice cocked Pork"なんですよ。まあ確かに煮てから炒めるかもしれんけど、ホイコーローをこう書かれてもさっぱり判らん。

まあ結局昨日の晩はコレを頼んでしまって、結局食いきれずに半分持ち帰って、今日の晩にレンジでチンしてもう一度食ったわけです。っていうことは"Three times cocked Pork"になるんですかね? ちなみにこのへんは豚肉が名物みたいで、スーパーでも牛肉より高いし、ダウンタウンに行くと豚の像があっちこっちに沢山(呆れるほど沢山)並んでいて、ちょっと気持ち悪かったりします。



[ SONY ] 2000/08/21(Mon)
たまにこっちの電気屋に行ってみると、特に音響製品なんかにおいては、何だかんだで日本ブランドが4割くらいを占めている。特に多い(というか、こればっかり)のがSONYとPANASONIC。日本以外では、若干高いのがPHILIPS、あとはRCAとかGEとか、あんまり日本では知られていないブランドが並んでいる。で、日本製品はやはりというか、若干高い。とある本によると、米国人の中にはSONYって会社は日本の会社だってことすら知らない人さえ居るらしいので、このSONY製品の充実ぶりも頷けるものである。

何でこんなことを書くかというと、たまたま英単語本を読み進めていたら突然SONYという単語が出てきたからで、英文は"SONY has integrated a wide range of functions into this cool gadget. It's catching on from coast to coast."で、その訳は「ソニーはこのスゴイ機器に多岐にわたる機能を統合させた。全米で評判になり始めている商品だ。」となる。coast to coastなんてまさに米国語であり、単語集でさえもSONYの多国籍性を認識しているというのは日本人として妙に感慨深かったりする。

しかしSONYにはもう一つ有名な話があって、それは勿論「よく壊れる」ってやつなんですけど、その英単語本のCDをSONYのCD WALKMANで聞いていたら、丁度この文章のところでブッ壊れたんですよ。ガガガガガッ、とか音がして、回転が止ってしまったのです。しかも、この文章の一番最初の"SONY has "のあたりで。思わずその次に"a fatal problem"とかくっつけたくもなりますよ。いくら保証期間中だからって、町田のヨドバシカメラで買ったやつをこっちで修理に出すわけにもイカン。あーもう、ホントによく壊れるなあ。判ってて買う俺も俺だけど。

で、しょうがないので、一度CDを取り出して、もう一度再生したら直ってました。ホッ。



[ REDS ] 2000/08/20(Sun)
というわけで今日こそREDSなのです。しかし、昨日の夜、ラーメンを食い終わったあたりから突然体中の関節が痛くなり始め、特に両肩はもうとんでもなく酷くて、ストレッチなんかしても全然ダメ。何でこんなことになるんだかワケがわからない。運動のしなさすぎで筋肉が落ちすぎたんだろうか。急速に筋肉をつけて痛くなったことはあるけど、まさか落ちて痛くなるってことはないよな。結局またもやベッドが柔らかいのがいけないことにして、試しに床(とはいっても厚い絨毯)で寝てみたけど、結局寝付かずに普通にベッドで寝る。寝付いたのは3時過ぎで、そして起きたらもう11時。だいぶ痛みは収まっていた。

パン食って、珈琲飲んで、12時に家を出る。試合は1:15なんていう中途半端な時間から始まるから、家からダウンタウンまではせいぜい30分だからまあ間に合うだろう。I-71をひたすら南下して、適当な所で降りると、前の数台が連なるように交差点を曲がっていく。何となくついていくと、そこは駐車場であった。Cinergy Fieldから近いのかどうかは良く判らんけど、まあそんなに遠くは無いのだろう。俺もそこに停めると、赤いポロシャツを来たガキが近寄ってくる。$5払って駐車券みたいなのを受け取る。そして人の流れについていくと、通り沿いにはダフ屋だとか、グッズ屋だとかが沢山居る。前の人達が何故かビルに入るので、何となく後についていくと、ビルを抜けたところがCinergy Fieldに渡る橋だった。橋の下はI-71が走っている。橋の途中には、やはりダフ屋と、ホームレスの人、グッズ屋が居る。渡りきるともうCinergy Field。既にゲートは開いているが、俺はチケットを持っていないので、沢山の人をかきわけながらチケット売り場を探してウロウロする。

チケット売り場らしい所を見つけて、一番安いやつを買う。何とたったの$5だ。他の席でも$13とか$16なんてのもあるけど、違いが良くわからないので一番安いので充分だ。何処のゲートから入るのか良く判らんし、まだ時間もあるので何となくウロウロする。このCinergy FieldはOhio Riverのすぐそばにあって、その隣には昨日オープンしたばかりのPaul Brown Studium(Cincinnati Bengalsの本拠地)がある。それにしてもあっちこっち工事中で興醒めもいいところだ。

さて、そろそろ時間だから入るか。適当なゲートに並んでチケットを出すと、あそこのエスカレーターから昇れ、と言われた。入るだけなら別に何処でも良かったらしい。俺に与えられたのはAISLE 301, ROW 26, SEAT 16という番号だけで、これだけで場所が判るんだかどうなんだかすら判らん。うろついているうちに、326とか、300番台の番号が書かれているのに気付いて、じゃあどっかに301があるんだろうと思ったら301-306とかいう看板が現れる。じゃあここだろ、と思って入ってみると、確かにシートに番号が書いてある。よく見たら通路脇のシートにはROW番号が入っている。じゃあ26まで昇るか、ということで昇ってみると、何と26というのは一番上であった。しかもその16番のシートには既にガキが座っている。多分席番号なんてのは有って無きが如しなんだろうと理解する。

ようやく落ち着いて球場を眺める。ほう、これがメジャーのBall Parkというやつか。なんだか千葉マリンスタジアムみたいだ。しかしまたガラガラだな、どっかの貧乏球団の秋口みたいだ。ヘタに席が多いってのも考えものだ。何となく雰囲気が違うと思ったら、日本だとどこにでもある「バックスクリーンの上の電光掲示板」が無くて、それらは天井からぶら下がっている。恐ろしくてあそこの下では絶対に見る気になれないが、それ以前にガラガラすぎてそこに行く必要など全く無い。フィールドではREDSの選手がウォーミングアップをしている。ファールグラウンドが狭くて、網なんか何処にもないのが日本の球場に慣れた俺には不思議に思える。観客の7割は何らかのREDSグッズを身に付けている。俺も何か買おうかと思ったけど、金が無いので止めておく。そもそもこんなのはそのへんのスーパーでもいくらでも売っている。ここで餞別に貰った広島カープの帽子(ホントにソックリ)を部屋に忘れてきたことに気付くが、勿論後の祭りである。

暫くすると選手紹介が始まる。今日の相手はPITTSBURGH PIRATESなので、そちらから順に紹介されるが、球場に居るのは100%がREDSファンなので誰も聞いちゃいない。そしてREDSの紹介になると一人一人大拍手だ。その後どういうわけか子供が出てきて守備位置について、さらに選手もそこに行く。続いて何かのアナウンスが入り、観客は皆立ち上がる。俺も思わず立ち上がる。何かと思ったら米国国歌斉唱だった。一応電光掲示板には歌詞も出ている。ビジョンには歌っているオネエサンが出ているが、何処で歌っているんだか良く判らん。

さて、試合開始だ。REDSの先発はDessensという投手。まさか前に巨人に居た奴ではあるまいな。試合開始早々に走者を出すものの併殺に取り、終わったかと思ったら1点取られる。何だか大洋の試合を観ているようだ。何とか1点に抑え、REDSの攻撃。PIRATESの投手はストライクが入らず、いきなり四球。そして続くLarkinが併殺。3番のGriffey Jrの前に走者を掃除してどうするんじゃい。そしてJrが出塁。何という効率の悪い攻撃だ、どうせこれでお終いだろうと思ったら3点取って逆転してしまった。

しかしその後がイカン。そのDessensは着々と点を失い、REDSは着々とゼロ更新。あんまりにも寒い試合だ。そしてこの席も日陰のせいか妙に寒い。そういえばちょっと頭もボーッとしている。この期に及んで、実は昨日の関節の痛みは風邪によるものだったってことに気付く。あーあ、これじゃビールなんか恐ろしくて飲めんな。しょうがないのでDiet PepsiとHot Dogだけの昼食。一応観客席は禁煙らしいが、一旦観客席を出ると通路ではみんなスパスパ煙草を吸っている。思わず俺も風邪っぴきのくせに一服する。一瞬観客が騒いだので何かと思ったら1点取られていた。あーあ、またかい。ダメだこりゃ。

試合が寒いせいからか、球場スタッフはあの手この手で観客を盛り上げる。何だか判らんがボールみたいなものを観客に向かって投げている。しかし残念ながら貧乏人席には届かないので無意味である。暫く試合を観ていたが、全然点が入らなくて面白くないので、ガラガラの外野席に移る。こちらは陽が当たるので寒くなくて良い。末期の川崎球場を思わせるほどに客の居ない席からダラダラと試合を眺める。特に内野手のフィールディング等、選手個人個人の動きは素晴らしいものがあるが、いかんせんGriffey Jr以外の選手の名前すらろくに知らない上に、全然点を取れないのでなかなかのめり込めない。よくよく電光掲示板を見ていると、2番のLarkinという選手は通算1999本のヒットを打っているようだ。道理で妙にこの時だけ盛り上がるはずだ。もしかして2000本の瞬間を拝めるのか、と思ったら4タコであった。全くもって面白くない。7回裏の"Take me to the ball game"を歌っても何の変化もない。それどころかトイレに行っている間にダメ押しの本塁打を打たれて、9回裏も3者凡退。一応NATIONAL LEAGUEの中地区では2位のくせに、とてもそうは思えない惨敗に、観客からはブーイングの嵐である。終わってみれば初回の3点だけで、ヒット数では1本上回ったのに何故か3-7で負け、しかも得点したのは初回だけという、まるで大洋の試合を観ているような結果であった。それでも観客は32000と発表されている。ホントかよ、ガラガラもいいところだぞ。

うーん、初のMLB観戦は、面白かったかどうかと言えばちょっと疑問。プレーそのものは良いんだけど、選手も知らんから野次の飛ばしようもない。あとは出てくる投手が変化球投手ばっかりだったってのも面白くない。下の方に居れば、ファールボールを捕るとかの楽しみもあるんだけど。まあ$5だから別に良かろう。今度はせめて野茂でも投げそうな日にでも来るとするか。



[ Jungle Jim's ] 2000/08/19(Sat)
別にやることも無いし、REDSの試合でも見に行くか、今日はナイターだったよな、なんて思いながら洗濯なんかやって、何となくテレビのチャンネルを回していたら、何とそのREDSの試合をやってるじゃありませんか。こりゃまたどういうわけだ、と思ってREDSのWebを再確認してみたら、実はカレンダーの右端は土曜日なのに、勝手に日曜日だとばっかり思い込んでいたという何とも浅はかな話。

今から試合なんか見に行ってもしょうがないので、例の輸入食品屋探しに予定を変更。「シンシナティの風」によると、日本の食品を買える店はこの辺には3軒くらいあるらしいけど、名前からすると「東京食品」が一番良さそうだ。何となくそこは最後に行きたいような気がしたので、とりあえずJungle Jim'sに行ってみることにする。

I-275を西に向かって、Exit41で降り、Dexie Hwyを北へ少しいった所にそこはあった。こんな店、物好きしか来ないだろうと思ったらとんでもない、駐車場からして馬鹿混みだ。奥の方に行くと案外空いていたが、こっちに来て駐車場でウロウロしたのは初めてだ。建物は予想より全然デカイ。停めたところの近くにEntranceがあったので、カゴも持たずに入る。

入ってみると、そこはいきなりワインとビールの山であった。日本の郊外によくあるデカい酒屋くらいのスペースが全部ビールとワインだ。Coronaは勿論、青島ビールなんかも売っている。とりあえずそこは用が無いので素通りすると、次はDeliコーナーのようだ。寿司なんかも売ってるけど、それなりのものは$7とかするので、あんまり安くない。これだったら日本料理屋に行ったほうがいいぞ。他にも定番のサラダとか、パンとか、肉類とかが大量に並んでいるが、ここも結局素通り。そして次は青果コーナーのようだが、これまた素通り。そしてようやく現れるのが多国籍コーナーである。青果コーナーの隅っこには、さりげなく"Daikon"なんてのがあったりする。大根に相当する英語って実は無いのか? そしてほんの少し歩くと醤油(Soy Source)が現れる。遂に日本食品コーナーか? と思ったら実は中国関係のようだったが、さりげなくキムチやTOFUが売られている。その横には"U.S. TOWN JOURNAL"なる日本語のフリーペーパーが置いてある。おぉ、遂にここCincinnatiでも日本語のフリーペーパーを発見したぞ、と思ったら、日経新聞が出しているもののようで、「東部版・Eastern Edition」なんて書いてあるくらいだから、要するにNew Yorkとかその辺が対象であって、ここCincinnatiなんかは所詮オマケというか、記事の中にはまるで出てきやしない。載っている広告も見たことが無い局番ばっかりだ。それでも初めて見る日本語の印刷物である。辞書を持たずに読めるというのはそれだけで気楽なもんだ。

そして次の列に行くと、いよいよ日本食品コーナーだ。右側が生物、冷凍食品で、左側がレトルト、調味料、菓子類といった感じ。生物コーナーでマルハのソーセージを発見した俺は思わず飛び上がりそうになったが、賞味期限が2000/05/06だったり、1999/11/19だったりするのはどうしたことか。マルハ製品はこっちでも人気が無いのか? それ以前にこんな古いのさっさと捨てろよな、危なく買っちまう所だったじゃないか。この時点で生物は買わないことを決意。実際、その隣にあった卵豆腐は完全に腐っていて液体になってしまっている。こんなの誰が買うんだ。

しょうがないので冷凍食品を見てみる。納豆やら梅干しなんかもあるが、そんなものはどうでも良い。何と生ラーメンがあったのだ。カップラーメンや袋ラーメンではない。生ラーメンだ(冷凍だけど)。こっちでは日本料理屋でも、中国料理屋でもラーメンは無いから、レストランでまともなラーメンを食うことはまず諦めるしかない。となれば生ラーメンこそがラーメンの最高峰なのだ。銀河鉄道999に乗って本物ラーメンが食いてぇと嘆き続けていた星野鉄郎の気持ちが良く判るぞ。この際生ラーメンでも充分だ。早速カゴを持ってきて、迷うことなく放り込む。

その他に、冷凍うどんとか、うどんつゆ用のダシとか、青じそドレッシングとか、醤油とか、冷凍餃子なんかを買い込む。そういえば箸も丼も無いので、それも買う。たまたま山本山の緑茶も見つけたので、それも買う。残念ながらペヤングソース焼きそばは無い。売っているものを見る限り、輸入したのではなくて米国のどっかで作っているものを集めただけみたいなので、ペヤングの製造元であるまるか食品がこっちに進出してこない限り、ペヤングを手に入れるのは無理な相談のようだ。レジに持っていって金を払う。たったこれだけなのに、気付いたら全部で$29にもなっていた。うーん、日本だったらこんなにしないだろうなあ。何しろ生ラーメンが$3.29ってのはなあ。日本の3倍じゃないか。まあいい、その分ステーキ肉は日本の1/4だし。

ホントはその後「東京食品」にも寄ってみるつもりだったが、冷凍食品を買ってしまったのでさっさと家に戻る。時間はまだ6時前だが、そんなのはどうだっていい、兎に角ラーメンだ。ついでだから餃子も食おう。湯を沸かし、フライパンを温める。日本でさんざんやってたことなので造作もない。餃子を蒸したり、麺を茹でたりを手際よく進めて、さあ、出来ましたよラーメン餃子。

さて、食いますかね。何、具はどうしただと? 具なんかこの際どうだっていいのだ、大体日本に居たときも金が無くていつも具はナシだったのだ。餃子があるだけでも贅沢だ。早速ラーメンを食う。そうそう、コレですよコレ! さすが明星製品だ、味噌の味もちゃんと日本の味だ。それに比べて餃子は若干中華料理屋っぽい味で残念。もっと場末のラーメン屋みたいな薄い皮の奴が良かったのに。しかしキッコーマンの醤油で味付けを調整できるのでそんなのはどうでも良いのである。こうやって当たり前のことにばっかり感動しつつ今日の晩飯を終える。勿論ラーメンのスープは全部飲み干す。いやー美味かった。そういや久々の汁物だったな、こっちの料理にはそんなの無いし。噴き出す汗が心地よい。

最後の仕上げは山本山の緑茶だ。おぉ、さすがは山本山、日本のブランドだ。この間のインチキな奴みたいに茶色じゃないぞ、ちゃんと緑色をしている。そもそも日本に居る時だって、お茶なんてのはスーパーのプライベートブランドしか買ったことが無いので、何だか凄い贅沢なような気がするぞ。そして勿論味も緑茶である。ラーメンとお茶って組み合わせは何だか変だけど、まあそんなのは別にどうだっていいのだ。ふう、美味い美味い。余は満足じゃ。



[ Dishwasher ] 2000/08/18(Fri)
今日は完全にネタ切れなので昨日の話なんですけど、前回の掃除から1週間の間を置いて、またもや部屋が掃除されておりました。前回は入居してから2週間後だったのに、何で突然1週間後にまた来たんだかは知りようも無いけど、とりあえず前日にサンドイッチの具やらパン屑やらをポロポロと床に落としたばっかり(しかも落としたまま)だったので、そんなことはどうでも良かったのです。

うむ、御苦労、ではキレイになった台所で珈琲でも作りますかな、なんて思ったら、何と珈琲メーカーそのものはあるくせに、ポットが無いじゃありませんか。これじゃ珈琲が作れないぞ、この前の皿とマグカップに続いてまた嫌がらせか。勿論棚の中を探しても無い。あーあ、さてはサンドイッチの屑に腹を立てたな。しょうがないので煙草を吸おうとすると、今度は灰皿も無い。オーマイガッ、遂に部屋までSmokin' freeにしやがったか、珈琲も無し、煙草も無しでどうやって今後生きていけと言うのだ、と文句を言っているうちに、ふとリビングのテーブルに灰皿が置いてあるのに気付く。しかも、前回の掃除で消えたはずの大きい灰皿ではないか。

これは怪しい。前回消えたはずのものが出てきて、その代わり今朝まであったものが無いのだ。つまり、実は俺が全然気付いちゃいないどっかにある可能性が高いってことだ。ということは...そういえばこの部屋には食器洗浄機なんていうタイソウなものがあった筈だ。開け方が判らなくて開けたことが無いんだけど、多分コレだろう。おもむろにレバーを動かす。すると、あーあ、やっぱり....

あーあ、しっかり出てきましたよ。珈琲メーカーのポットもきちんと入ってるじゃないか。無くなったはずのマグカップもしっかり奥の方に入っている。しかしまたデカイなこりゃ、こっちじゃ食う量が多いからこれで当たり前なんだろうか。そういや、何で台所用の粉石鹸なんてのがあるのかと思ったら、もしかしてこれに使うの? ってことは何も考えずにスポンジと食器洗い洗剤を買ってしまった俺って一体...



[ Farewell Lunch ] 2000/08/17(Thu)
同じチームの人が異動(もしかすると異動じゃなくて転職なのかもしれないけど、定かではない)するらしいので、今日はチーム全体でLunchを食う、ということになっていた。Jim曰く、日本じゃこういう時はbeerだけど、こっちではLunchってのが伝統なんだ、ってことらしい。さすがは車社会で、ランチタイムは各自テキトーで、しかも仕事は必ず定時に終えてさっさと家に帰って家族と過ごす国である。わざわざ仕事が終わってまで会社のヤツと顔を合わす必要は無い、ってことだろう。まあこの方が酔っぱらった上司に説教されたりすることも無いからある意味都合が良い。

そんなわけで、会社からは15分ほど離れたところにあるEast Gateにあるメキシコ料理屋に、何台かの車に便乗して向かう。ここでも車が登場するのが米国らしい。まあ会社の周辺には何も無いから当然だろう。考えてみればメキシコ料理は初めてで、案の定メニューを見ても何が何だかサッパリ判らない。しょうがないので、Special lunch #3というのを頼む。案の定 It's a safe way!(さては安全パイを選んだな?)なんて馬鹿にされてしまう。席に着いて早々にドリトスみたいなChipsが出てきて、他の連中はそれをガンガン貪っている。どうやらこれはタダらしい。

さて、そのSpecial Lunch #3は、Fried Riceと、あと2つ何か変なのが並んだ奴である。俺に判ったのはRiceだけで、あとの2つは春巻きの薄っぺらな奴みたいで、どっちも同じに見えるんだけど、他の人曰くコレはXXでコッチはZZ、なんだそうだ。聞いたところで判るわけが無いので食うだけ食ってみると確かに違う。イマイチ美味いんだか美味くないんだか判らないが、まあ$4.99だから別に構わん。なんて思っていたら今日の金は会社持ちなんだそうだ。有難や有難や。どうだ、もう1度ここに来るつもりはあるか? と聞かれて言葉に詰まってしまった。英語云々では無くて本気で言葉に詰まる。安いし、別のも食ってみたいような気はするけど、何せメニュー見ても判んないもんねえ。

そして夕食は久々にNさんと会って"MEI"で日本料理を食うことになっていた。しかし、こっちに来てたかだか3週間だというのに、この間日本にカードの問い合わせで国際電話をかけたのと、思わず「しまった!」とか「クソッ、このAOLめ!」なんてボヤいていた以外は全く日本語は使う機会も無く、しかも毎晩英単語本を読みながらCDに合わせてブツクサ英語を言っていたせいか、何だか妙に日本語が喋りにくいのだ。どうも口がうまく動いてくれない瞬間が確かにあるのだ。馬鹿なことを言ってるんじゃねえ、ってケチつけたくなるかもしれないけどこれはホントだ。試しに3週間日本語を全く使わずに過ごしてからケチつけやがれ。そして俺は天麩羅&寿司、Nさんはうな丼を注文し、久々の日本料理を楽しむ。やはり味噌汁はタマラン。そして、実はシンシナティにも日本食料品の店があったり、日本語で書かれた情報サイトがあるってことを聞いたりしながら時が経つ。そして結局晩飯も会社払いということになってしまったのだ。嗚呼有難や有難や。よっしゃ、今週末はペヤングソース焼きそばでも探しに行ってみよう。



[ RIKISHI ] 2000/08/16(Wed)
帰宅して何となくポストを開けてみると、何だか分厚い変な本が入っていた。こっちのポストは何故か鍵付きで、面倒だからたまにしか開けないのに、開けたときは大抵妙なものが入っている。こんなのがポストの隙間から入るわけが無いから、多分郵便局の人も鍵を持っているか、どっかに鍵があるのだろう。たかが郵便物だってのに、いちいち物騒な所である。

さて、その分厚い本というのはTV GUIDEであった。何だこりゃ、米国にもこんなのがあるのか、と思ったらどうやらこっちが本家らしい。しかしまた分厚いなあ、と思ってページ数を見てみると、何と400ページ近い。よくよく見たらDirecTV版だそうなので、そりゃ分厚くなっても仕方がないか。しかし1週間分でこんなに分厚くなるかね。そして中には電話帳の如く数字と番組名だけがズラズラと並んでいるのである。これだけ見てもサッパリ判らない。しかも俺は結局DirecTVなんか見ちゃいないので、こんなの貰っても全然意味がない。だって何処を見ても何言ってるんだか判らないんだから、結局のところ何を見ても一緒なのだ。

しょうがないので何となく表紙の変なオッサンを見ていると、その横には"RIKISHI"と書いてある。何度見てもRIKISHIだ。RIKIISHIだったらそれはそれで面白かったんだが、RIKISHIでも充分面白い。どうも米国ってのは日本のことを誤解している点が多いが、相撲関連も誤解や面白い翻訳の多さでは筆頭だろう。決まり手の「寄り切り」を"forced out"とか言ったりするのだ。押し出しは"pushed out"だったりする。照焼きは"TERIYAKI"で、豆腐は"TOUFU"だったりして、しかも中にはそれが日本語だってことすら知らない人間が居たりするくせに、何故か日本の国技たる相撲の決まり手はいちいち訳すのだ。そのくせして突っ張りは"TSUPPARI"なんて、そのまんまだったりする。英語の相撲紹介本で"TSUPPARI is ultimate weapon(突っ張りは究極の武器)"なんてのを見た時は笑ったぞ。「肩透かし」だの「内無双」なんてのは一体どうやって訳しているんだろうか。「うっちゃり」はどうなんだろう。そもそも力士のことだって、普段は"SUMO WRESTLER"なんて言っている。じゃあ何故このオッサンは"RIKISHI"なのだ。素直に"SUMO WRESTLER"と名乗れば良いではないか。大体RIKISHIだったらジャンパーなんか着て笑いながら綱引きやってる場合じゃないだろう。マワシだけ着けて、眉間にシワ寄せて四股でも踏んだらどうなんだ、なんて、暇なのをいいことにケチばっかり付けながら本をパラパラめくっていると、このRIKISHIの紹介記事みたいなのが載っていた。どうやらWWF(プロレス団体)のレスラーらしい。"rikishi means 'wrestler' in Japanese"なんて、またもや妙なことが書いてある。RIKISHIは力士だってさっきから言ってるじゃないか。じゃあお前は「柔道」を"soft way"とか言うかい。大体だなあ、何でTERIYAKIはあるくせにSHIOYAKIとかKABAYAKIは無いんだよ。俺は鰻の照焼きなんか食いたくねえぞ、蒲焼きが食いたいんだ、まさか焼き鳥の塩とタレの選択肢も無いんじゃねえんだろうな、やい米国人め、TERIYAKI以外にも色々あるんだぞ、馬鹿の一つ覚えみたいにTERIYAKIばっかり焼いてないで、もうちょっと勉強しやがれオイ、とか何とかTV GUIDEに向かって馬鹿なことばっかり言いながらストレス発散しているのであります。あーあ、Coorsだと酒飲んでる気がしなくて俺の愚痴もキレが無いなあ。やっぱりヱビスじゃないと。



[ Stamp ] 2000/08/15(Tue)
何だか最近アパートだのレンタカーだのプロバイダだのカードだの、ホントだったら日本でやっておくべきことに妙に時間を取られてアタフタしているんですけど、こればっかりは日本では予想も出来なかった例のDirecTVの支払いなんてのもありまして、しょうがないのでこっちの不動産屋(Steve Jordanっていうよくありげな名前)に聞いてみたら「DirecTVはよく間違えてウチじゃなくてアパートに送っちゃうんだよね〜。これはウチで払うから、請求書をこっちに送ってね」っていうメールが来た。

あー良かった、とりあえず$21.99は払わなくて済んだみたいだ。しかし問題はその先にあったりする。要するにどうやって送りゃいいんだか判らないのだ。まあ封筒買って、切手買って、宛先書いてポストに入れりゃいいだけなんだけど、その切手が幾らなんだか知らないわけですな。日本までのAir Mailは60セントとかいうのを聞いたことがあるけど、まさか米国から米国に封筒を送る羽目になるなんてことは考えたことも無いから、そんなの幾らなんだか知るわけが無い。郵便局はそんなに遠くない所にあるけど、俺が通るような時間帯に開いているのを見たことが無いしなあ。

しかしさっさと出さないとマズイことはマズイので、近くのMEIJERのサービスカウンター兼煙草売り場のそばにポストがあったことを思い出し、もしかすると切手も売っているんじゃないかと想像して、出勤時に寄ってみることにする。丁度煙草も切れそうだし。24時間営業ってのはやっぱり便利ですな。まあ日本でもコンビニはそうだけど、品数と値段を考えればこっちの方がエライ。何て言えばいいんだろうなあ、と思いながらもカウンターに行って、封筒を見せながらこれ用の切手はある? なんて言ってみると、何の問題も無く通じて、33セントの切手を渡された。そうか。封筒は33セントなのか。初めて知ったぞ。東洋人が変なアクセントで喋っているから、切手の値段なんて一般常識問題みたいなのを知らなくても疑問に思われなかったのだろうか。

さあ、あとは貼ってそこのポストに入れるだけだ。早速切手の裏側に唾をつける。が、全然貼り付いてくれない。唾が足りないかと思ってベットリ(という程でもないけど)付けてみても何も変わらない。あんまりオタオタしているのもみっともないので思わず店を出てしまう。車に戻って思わず考え込む。まさか貼るために糊を買えっていうんじゃ無いよな。しばし切手を眺めていると、よく見たら切り取った部分が薄くなっていることに気付く。ん、もしや、と思ってその辺をペロンとやってみると、ものの見事に薄い紙が剥がれて、糊が出てきたのである。おお、凄いぞ、日本の封筒用切手の半分以下の値段なのにこんなに高機能とは。郵政省よ、いつまでも舌で舐めている場合ではないぞ。



[ Steppin' out ] 2000/08/14(Mon)
二日も続けてやたらと疲れる夜を過ごし、耳鳴りが残ったままダラダラと会社に向かった俺はひたすら眠気や睡眠欲と闘っていたわけですが、それはどう頑張ってもガムや珈琲だけでは撃退できるものではなく、真面目に仕事をするためには間違いなく煙草が必要だ、サボるために吸うのではない、健全な精神を維持するために吸うのだ、寝ないために吸うのだ、そうだ、必要だ、と気付いたら「高速道路の星 by 王様」のような気分になっていた俺は、カフェテリアでの昼食後に、Raviにどっか煙草が吸える場所は無いのか試しに聞いてみた。

するとRaviは"Steppin' out!"と言う。Joe Jacksonの曲とは多分関係無い。要するに外に出りゃあいいってことらしい。でもさあ、確かに玄関の前に灰皿はあるけど、一応客も来るんだしそんなにしょっちゅう行くわけにもイカンでしょう、あそこはせいぜい一日一回だぞ、と思ったら、実はいつも使ってる通用門の近辺でみんな吸ってるらしい。実はJimも吸ってると聞かされてちょっとビックリ。御丁寧にRaviはそこまで案内してくれる。毎日通ってるんだから別に案内してもらわなくても判るんだけど。で、辺りをよくよく見てみると、そこらじゅうが吸い殻だらけなのだ。オイオイ、何だよコレ。

そういえば、昨日、一昨日のRIVERBENDで6割を占めた喫煙者(非喫煙者より明らかに多い)は、例外なく吸い殻をその辺に放っていたし、それは競馬場でも同じだった。テレビでは「煙草は止めましょうね」みたいなCMはさんざん流れるけど、日本みたいに「ちゃんと捨てましょう」なんていうCMは見たことが無い。うーん、何だか嫌われるべくして嫌われているような気がするなあ。俺はさすがに捨てる気になれないので、毎日空になったSALEM ULTRA LIGHTS(残念ながら日本でここ4年ほど吸っていたSALEM PIANISSIMOは売ってない)のパックを持っていって携帯灰皿代わりにしているのである。あーあ、携帯灰皿持ってくるんだった。みんな平気でポンポン捨てるような国なんだから、そんなの勿論売ってないよね(ちょっと皮肉)。



[ TWO LEGENDARY BANDS ] 2000/08/13(Sun)
つうわけで行ってきましたよ今日も。前座(Santanaには失礼だが、俺にとっては前座である)から20時間も空けて。とにかく夜遅くなるのは判っていたので、洗濯だとか、日本への業務報告だとか、余計なことは昼までにさっさと終わらせて、さらにそのへんのBURGER KINGで一番デカイ奴を食って準備万端。昨日のSantanaの実績からして、わざわざ前売りで買うまでもなく現地で買えば問題無いのは見え見えだ。とりあえず開門までに行きゃ買えるだろ。今日は7:00からなので、開門は5:30だそうだ。それに合わせるようにRIVERBEND MUSIC CENTERに着く。

さて、今日の主役はREO SpeedwagonSTYXである。そして前座がLittle River Bandだ。はっきり言ってしまえば、80年代中盤を境に、それ以降は完全に盛りを過ぎたオッサン達が、昨今の再結成ブームに乗って老後の稼ぎをしているといった表現が言い過ぎではないくらいのメンツ(フリーペーパーには、今日のタイトルの"TWO LEGENDARY BANDS"って書かれているくらい)ではあるが、何れにしてもこれが日本だったらまず考えられない組み合わせであり、当然ながら1バンドだけでツアーできる面々である。たまたまネットサーフィン中にSTYXの文字を見た時、俺はまず驚いた。まだやってたんかい、と。そしてそこからRIVERBENDのサイトに辿り着き、実はREO Speedwagonも一緒に出ることを知った時はもっと驚いた。STYXがたまにアルバムを出していたのは知っている。Tommy Shaw(G,Vo)が出たり入ったりしていたのも知っている。しかしREO Speedwagonはと言えば、米国でアルバムを出したことはネット経由で知ってはいたけど、それさえ日本じゃ未発売で、その代わりにバラード・ベストなんてのが出るくらいの落ち込みようだ。しかもそのアルバムにはオリジナルメンバーのGary Richrath(G)とAlan Gratzer(Dr)が参加していない。REO Speedwagonの曲の半分以上を書いていたGaryが居ないのだ。1990年に最後で日本で発売されたアルバムはクソだった。要するにもう「終わった」と思っていて、情報を追うことも止めていたのだ。でも、そんなことはどうでも良い。俺にとっての産業ロック二大巨頭と言えばこの二組であり、そして俺は中学生時代から彼等の大ファンであり、そして70年代から80年代中盤にかけての彼等の作品は俺にとって何度聞いても飽きることの無い素晴らしい作品であり、それらを金なんかあるわけが無い中学生の頃に輸入盤で買っていたりしたわけで、つまり誰が何と言おうとこの二組は俺にとってはあらゆる意味でサイコーな人達なのである。その二組が一緒に出るだと? これが黙って家で座ってられるかってんだ。行くに決まってるだろうが。何しにわざわざ米国まで来たってんだ、仕事だと? そんなのどうだっていいんだ!!

ってなわけで来てしまったんだが、昨日のSantanaとは打って変わってガラガラである。嗚呼、やっぱりこっちでも既に彼等は終わった人達なのか。売店も活気がない。その活気のない売店で、両バンドのキーホルダーだけ買う。プログラムが無いんだからしょうがない。TシャツはXLしか無いし。そもそも$30の手持ちが無かったんだけど。とりあえず$5で椅子を借り、スクリーンとステージが両方とも見える特等席(芝生だけど)に位置する。これだけ入れ込んでおきながら高いチケットを買わなかったのは、前にデカイ米国人が来たら何も見えないことを憂慮したからである。芝生席なら移動すれば済む話だ。チケット売り場でも高いほうを勧められて「ここは良い席だぞ」なんて言われたけど、それは日本人の中でも背が低い方に入る俺のことを理解していないからだ。暇なのでウロウロしているうちに徐々に人は増える。俺はビールを買おうとして、IDを求められて撃沈。オイオイ、初めてだぞ、オハイオでID出せって言われたのは。サングラスなんかしてたら余計ガキっぽく見えたのか?

7時になり、Little River Bandが出てくる。演奏も良いし、曲も悪くないし、コーラスの美しさは特筆モノなのはレコードの通りなんだが、それぞれの曲にどうにもコレといった押しが無いのもまた彼等の特徴だ。いいなあお前等、こんな3バンドが一度に見られるんだもんなあ、なんて言いながら芝生席で座ってみている我々を立たせようとする。しかし半分近くの客はビールとお喋りに熱中していて、曲が終わると思い出したように盛り上がる。そんな感じで50分ほど演奏して終わる。

20分ほどの休憩を置いて、次はいよいよREO Speedwagonだ。まず今後日本に来ることは無いだろう。言い換えれば、俺が見られるのはまず間違いなく最初で最後だ。始まりの雰囲気を感じた俺はさっさと立ち上がる。そして始まりは"Don't let him go"であった。'77発表のライブ盤"YOU GET WHAT YOU PLAY FOR"や、宇都宮で見つけた'81来日時の海賊版"TOKYO SUBWAY"(4,700円もしたのだ)でしか聞いたことが無い光景が、今まさに目の前で行われている。何時の間にか客は昨日と同じくらい増えていて、しかも物凄い盛り上がりようだ。それもノリの良い曲よりもバラードで盛り上がるんだから判らない。演奏曲は殆どが彼等の全盛期のものばかりで、例のクソだったアルバムや、日本未発売のアルバムからの曲は皆無である。俺が知っている曲しかやらないってのはつまりそういうことだ。観客は、昨日よりは若干年齢層が高いような気がするが、やっぱり若いのも沢山居る。15年もヒットチャートに登場していないバンドなのに若い奴が来るんだから大したもんだ。しかしそれも未だに70年代、80年代の曲が頻繁に流れるこちらのラジオの状況を考えれば納得いくものだ。コンサートはKevin Cronin(Vo)の独壇場と言った感じで、雑誌に書いてあった通りにやたらと早口なMCをさんざん交えながら進む。この時ほど英語が出来なくて悔しかったことはない。言っていることの7割は判らない。もう死ぬまで見れないかもしれないのに判らないんだから、仕事していて判らなかった時とは比べ物にならないくらいに悲しい。何せもう聞き直しようが無いんだから。

そして"Roll with the changes"で一旦終わる。'78発表で、しかもろくすっぽ売れなかった曲だというのにこの盛り上がりようは一体何なんだ。そしてアンコールは'73の"Ridin' the storm out"と'71のデビューアルバムに入っていた"157 Riverside avenue"という定番の組み合わせである。このへんはライブアルバムにも入っているものと殆ど同じだ。まさにREO Speedwagonがライブでのし上がってきて、それで身を立てているバンドだということがはっきりと判る。演奏云々の問題ではない。何しろ盛り上げ方が目茶苦茶上手いのだ。

そして彼等はステージを去る。時間は既に9:30だ。オイオイ、これからまだやるのかよ、って感じの時間だ。それでも勿論客は誰も帰らない。相変わらず酒とつまみを求めてウロウロしているけど。そして9:50、遂にStyxが登場する。しかし、最初の曲がいきなり知らない曲で拍子抜けする。どうやら"Brave new world"っていう最新アルバムのタイトル曲のようだが、案の定他の客も知らないらしい。Dennis de young(Vo, key)の妙にコメディっぽいアクションが、まさにプロモーションビデオそのまんまだったり、リズムの感じやキーボードの入り方がStyxっぽいのでそれと判るくらいだ。そして次の"Grand Illusion"でようやく盛り上がる。そうそう、やっぱり定番をやらねばならない。しかしこの曲はまさかやるとは思わなかったので少しビックリした。その後も定番曲を中心にライブは進む。それこそ定番が出てきたときの客の盛り上がりようはハンパではなく、待ってました、とばかりに(サビだけ)歌いだすのである。そしてDennis de youngが、Ohio river云々と言い、ピアノを弾き始める。それだけで曲が何だか判ってしまう。"Come sail away"だ。この曲は未だに日本のAFNでもさんざん流れるくらいの定番であり、客も勿論知っているから、サビになると怒号のような歌声が飛び交い、そしてビールを持った手を高々と突き上げるのだ。この曲で一旦終わり、アンコールは"Renegade"だ。俺はとりわけ好きな曲では無かったんだが、実際に現場で聞いてみると何故この曲がここに位置するんだかがよく判る。ビールの飲み過ぎでとっくに出来上がっている観客の盛り上がりようも凄いものがある。そしてこの曲だけでアンコールは終わり、ステージに"Styx"と書いた幕が落ちる。ああ、とうとう終わってしまった。時間は既に11:10。そりゃ終わるわ。

そして俺は限りない満足感に包まれつつ、IDカードを見せることもなくCoorsを飲みながらコレを書いているのであります。ホントはもっとちゃんと書きたかったんだけど、それはまたそのうち暇があったら書くこととしましょう。みっともない話だけど、ライブの途中思わず泣きが入りましたよ、ワタクシ。まさかホンモノが見られるなんてねえ...



[ Santana ] 2000/08/12(Sat)
何となくオハイオ情報を探ってWebをウロウロしていた時のことである。そもそも俺が探していたのはレストラン情報なのに、たまたまとあるコンサートのチケットをプレゼント! みたいなページに行き当たって、そのバンドというのが俺が中学生の頃から大好きだったバンドで、しかも開催地のRIVERBEND MUSIC CENTERというのはこの間行った競馬場のすぐそば、という恰好の条件なのである。開催日は8/13(Sun)で、申し込みは8/10まで。このページを見つけたのは8/9の夜のことであり、当然俺は速攻で申し込む。入力欄には住所だの電話番号だのを書く必要があって、もし電話がかかってきたらアタフタするのは間違い無いところではあるが、そんなのはどうでも良い。とりあえず申し込む。

で、それに外れたら行かないかというとそんなことは無くて、当然何としても行くのである。意地でも行くのだ。そのRIVERBENDなる所のWebサイトを探し出し、見てみるとまだ空きがある。しかも値段が安い。日本で外タレを見るときのことを考えたら1/3じゃないか。何が何でも行かねばならん。でなければわざわざ米国まで来た意味が無いのだ。

こんな感じで一人で盛り上がっているのも面白くないので、友人のYにこのことをメールで告げると、そのYがやたらと羨ましがるのである。しかも俺が行くつもりのものではなく、その前日、8/12(Sat)に催されるSantanaの、しかもそのカップリングのMacy Grayという人のことを言うのだ。俺はそんな奴は知らん、♂か♀かも知らん。しかしYはあれこれと御託を並べて、俺を行かなきゃ馬鹿だと思わせる状態に導くのである。とにかく声がたまらないらしい。少なくともその手の音楽に関しては俺より数百倍知識があるだろうからウソはないだろうけど、最近椎名林檎に妙に拘っていたりする(俺はあの声は好きなタイプじゃない)だけに少々怪しい。まあいいか、Santanaも見たいことは見たいし。ホントはこの日はデカい公園でやってるサマーコンサートに行くつもりだったんだけどなあ。

となればチケットを買わなければならない。今Santanaは人気があるからなあ。買えるかどうか判らん。とりあえずWebサイトを調べると、一応まだSold outにはなっていない。じゃあ当日券で入るか、と思いつつ色々調べていると、THRIFTWAYなるスーパーでも買えることが判る。何だ、この店は会社帰りに通るじゃないか。だったら話が早い。早速行ってみる。何処で買えばいいんだか判らないのでウロウロしていると、カウンターのところにTICKET MASTERという看板がある。ここで頼めばいいようだ。何て言えばいいんだろう、と考えている間もなく店員が近づいてきてしまった。仕方がないのでDo you have云々と聞くと、一応通じたらしい。Do you haveなんて馬鹿っぽく思えるかもしれないが、この表現はかなりオールマイティーなのだ。在庫確認にも使えるし、レストランに行って好みの料理があるかを確認するのにもこれなのだ。それで満足していると次にまた色々質問が来る。とりあえずクリアして、一番安いLAWN(芝生席)のチケット、大人1枚を買う。$34.75である。まあこんなもんかね。

コンサートは7:30からだ。随分と遅いよなあ。駐車場は4:00には空くらしいけど、そんな早く行ってもやることなど無いので、途中のEASTGATE MALLで適当に時間を潰す。ここも先週行ったKENWOODのショッピングモールと似たようなもんで、時間潰し以外の役には立ちそうもない。6:30にRIVERBENDに到着。その隣の競馬場では、今日は競馬が催されているようで車が多い。実際馬も出ている。何だ、だったらこっちで暇つぶしすりゃよかった。

どうやらこのあたりはアミューズメント地帯のようで、RIVERBENDの隣には例の競馬場、その反対にはウォータースライダー等が用意されたプールがあり、さらにその奥には遊園地もある。従って人も多い。入る前に適当にブラブラしていると、どういうわけかRIVERBENDに行く人があれやこれや荷物を持っていることに気付く。目立つのは椅子やブランケット、敷物の類だ。敷物と言っても日本のビニール製のコンパクトなものではない。そもそもあれでは持っていることに気付かない。毛布と言ったほうが適当だろう。そんなものを持った人がゾロゾロとゲートに向かっている。ふーん、Santanaって今そんなに人気があるのかねえ。しかも年齢層が異常に幅広い。日本ではこういうのは若い奴の特権といったイメージがあるけど、ここには子供連れから老夫婦、若いカップル、単なるグループ等色々居る。音楽というものが真に一般市民に根付いている証拠だ。とりあえず一人で来ている場違いな奴は俺だけだということは間違いないようだ。

早速中に入る。ゲートをくぐった所ではTシャツやプログラムを売る出店や、食い物屋が営業している。INFORMATION、という看板が出た所には行列があり、何やってるのかと思ったら単純に芝生席用の椅子を$5で貸し出しているだけだ。初めて来た俺は少々迷うが、どうやら階段を昇ればそこに席はあるようだ。そして昇ってみると、おぉ、いかにも野外コンサートと言った感じの場所ではないか。金持ち達は前の方の屋根付きの椅子席、一般人や、ただ騒ぎたい人は芝生席に座るらしい(とは限らんけど)。うーん、芝生席ってのはどうも一人だと居づらいなあ。しかし問題なのは、屋根の柱があんまりにも邪魔くさくて、上手いこと場所を選ばないとろくに見えないということだ。その証拠に席取りは見やすいところから始まっていて、見えない場所にはろくに人が居ない。しかし席取りしようにも何も持ってきていない俺はどうにもならないので、仕方なく椅子を借りに行く。それだけだと、一度自分の席を離れようものならイマイチ自分の席なのかどうか判別しづらい(みんな同じ椅子を持っているから)ので、ついでにMacy Grayのプログラムを$10で買って置いておくことにする。Santanaのだったらまだしも、こんなの誰も持っていかないだろ。前座だけにあまり買う人が居ないのか、全然用意していないようで、壁にかけてあったものをそのまま売ってくれた。最後の一つだったらしい。まあ普通はSantana目当てで来るだろうからなあ。それらを持って、適当な位置に陣取る。相当後ろの方だけど、一応柱は逃れているので見えることは見える。米粒くらいだけど。

始まるまでは適当にブラブラして、ビールを買ったりして時間をつぶす。まあ帰るまでは相当時間があるから醒めるよな。ふと気付くと、かなりの人が煙草を吸いながらウロウロしていることに気付く。ここも競馬場と同じく喫煙者が多いようだ。灰皿が無いせいでみんなポンポン吸い殻を捨てていくのは残念なことである。喫煙者迫害でストレスが溜まっているのだろうか(それは関係無い)。そろそろ時間なので戻ると、予定より早い7:25にはMacy Grayが出てくる。さあ、お手並み拝見、といったところだ。

曲調はいかにもYが好きそうな感じで、基本的にはR&Bで、多少ラテンで、といったところ。まあSantanaが前座に起用するのも判るような感じ。で、そのYが絶賛する声がどうかと言うと、確かにYの言うところのスモーキーという感じはある。若干しゃがれているんだろうけど、俺はあんまりしゃがれ声というのは好きじゃないんだが、案外素直に入ってくる。コーラスの姉ちゃんの声と比べると明らかに一人の歌手としての特徴がありつつもすごい癖があるわけでもない。でも何だか声量がコーラスに負けてしまっているのが悲しい。まあPAのせいもあるだろうし、ツアーの最中で咽がやられてるのかもしれない。とまあそんなことを考えつつ聞いている最中にも客はゾロゾロと入ってくる。米国人というのは全く時間にルーズな連中だ。まあ前座だから別にいいのか。どうでもいいから早く座ってくれよ、見えないから。

1時間ほどでMacy Grayはステージを去る。うむ、楽しませて貰ったぞ。暫く時間が空いたので、下に降りてホットドッグを買うことにする。しかしどういうわけか全然列が前に進まない。後ろのオッサンは、hey, young kids,とか店員(ホントにyoung kidsって感じ)に文句を言っている。そしてようやく俺の番が来たころに、遂にSantanaが出てきてしまったようだ。あーもう、見逃しちまったじゃないか。そそくさと$1.75払って席に戻る。まだ始まったばっかりだというのに、さっきまで座っていた観客は総立ちだ。時計を見たらもう9時。オイオイ、9時に始まるなんて日本じゃ大晦日の年越しライブ以外は考えられんぞ。しかも野外だっつうのに。

Santanaは、まあSantanaだ。あのSantanaだ。正直な話、俺はそんなに大ファンってわけでもなくて、レンタルで借りたCDからコピーしたテープや、中古で買ったライブ盤のレコードを持っているに過ぎない程度で、しかも最近ヒットした奴はろくに聞いてもいないのであんまり知らない。それでも凄い人のライブってのは楽しめるものなのだ。まず間違いなくレコードの通りの演奏なんかしちゃいないだろう。だから曲なんか知らなくても面白い。とにかく上手い人の演奏ってのは文句無しに面白い。周囲の米国人も思い思いに楽しんでいる。カップルで来た連中はまず間違いなく密着していて、ちょっとスローな曲になると男の手は女の背中から尻へと行ったり来たりしていたり、キスしたりしている。女だけで来た連中は、ちょっと尋常では無い勢いで踊り続けていたりする。ファミリーで来た連中は、親父が子供を肩車していたりする。老夫婦はみんな立っているのに座ってリズムを取っていたりする。男同士で来た連中は大抵案外おとなしくて、曲が終わると同時に騒ぎだす。とまあこんな感じなんだが、集団でライブそっちのけで大声で喋りまくるのは勘弁して欲しい。迷惑さでは電車内の携帯の比じゃないぞ。

中盤になった頃に、Carlos SantanaがMacy Grayを呼び出す。曲は多分SUPERNATURALって言うんだろうけど、勿論レコードの通りではない。途中からは気付いたらMacy Grayの独壇場になってしまって、客にLove、だのPeace、だのMusic、だのと叫ばせていたが、大事なものを忘れてた、とか言いながらPussy!、と叫ぶと、さすがに失笑を買っていた。Carlos Santanaはそれ以降このPussy!をさんざん喋りのネタに使う。そんな感じでライブは進み、例の野口五郎がカバーした曲で一旦終わる。勿論アンコールを要求するわけだが、客はどういうわけか皆ライターを付けてかざしたりしている。こうやって光モノを出すのは日本と変わらない。そして出てきたらいきなり"Black Magic Woman"が始まった。ここが多分一番盛り上がったに違いない。ちょっと前の黒人のネエチャンは、相変わらず物凄い勢いで踊り続けている。とんでもない体力だ。まさにBlack Magic Womanである。その後2曲演奏してライブは終了。うーん、"Europe"もやってほしかったなあ。なんて考えていると、多分駐車場が混むからだろう、皆かなりの勢いで帰り始める。ん、何だよ、もう11時じゃないか。これが当たり前だっていうんだから、米国の常識ってのは判らん。

後ろの方に居た特権で、渋滞に巻き込まれることもなくさっさと帰る。道路も空いているので、30分程で家に着く。ふう、疲れたけど面白かったぞ。でも、俺にとっては今日のライブ自体が明日に向けての前座に過ぎないのだ。そういや応募したチケットはどうやら外れたらしいな。まあいいや、また買おう。しかしこんなに使っていて金がもつのか?



[ Housekeeper ] 2000/08/11(Fri)
先日のDirecTVの件からしてそうだけど、どうやらこっちではアパートに管理会社の人間が勝手に入り込んで、勝手に何かをしていくってのは結構当たり前みたいなんですけど、とにかくこの件では昨日、今日とビックリしまくりなのであります。

まず、昨日家に帰ってみると何かが違う。リビングのテーブルに無造作に置いてあった本の類がみんなソファーにドンドンドンと載っている。何だ、何があったんだ、と思ったらそれどころではなかった。いつも飯を食ったり、PowerBookを置いていたりするダイニングのテーブルが、今までの長方形のものから楕円(というか陸上のトラックみたい)形のものに変わっていて、しかもその上に置いてあった本だとかティッシュだとか灰皿だとかは床に適当に置いてあって、PowerBook関連機材類だけがテーブルに載っている。何じゃこれは、勝手に俺の憩いの場をいじるんじゃない! しかもこの椅子座りにくいぞ、しかもテーブルの角の形状が悪いぞ、前の方が良かったぞ、戻せ! なんて言ってはみたけど、実際に何処にこの文句をぶつけてればいいのか良く判らない。しかし何でこんなの変えるわけ? 理由が全然判らんなあ。確かにこんなのデカ過ぎるとか書いたけどさあ。ん、そういやダイニングの角にデカい植木があるな。テレビの横にまであるじゃないか。こんなの無かった筈なのに。

昨日あんなだったから今日は何も無いだろうと思って帰ってみると、俺宛てではなくアパートの管理会社の名前宛てにDirecTVから何かが届いている。何だこりゃ、番組案内か何かか? まあ何でもいいや。そう思いながら部屋に入ってみるとまた何かが違う。カーペットの上に、どう見ても掃除機をかけたとしか思えない跡がついている。へぇ〜、掃除までやってくれるのか、これじゃ家政婦が居るみたいだ。さらに汚くなりかけていた台所も掃除され、隅に置いてあったゴミ袋まで無くなっている。ベッドも布団が直されていて、勿論風呂場も掃除され、さらにはバスタオルの類まで入れ替えられている。こりゃ凄い、ホテルと変わらんじゃないか。でも何だ、掃除してくれるってことはチップが必要だったりするのか? でも何時来るのかなんて知らんぞ。なんて思いつつ、昨日持って帰った中華料理の残りをレンジで温めようとすると、俺が自分で買って来た(皿が足りないと思って買ってきたんだが、実は棚の中に皿は沢山あって損した)プラスチックの皿が無くなっていることに気付く。しかも同じくプラスチックのマグカップも無いぞ。オイオイ、どういうことだ、ここは食器類は指定のものしか使っちゃいけないって言うのかい。まさかチップが置いてないからって皿とマグカップ持っていったんじゃないだろうな? 念の為他のものが無くなっていないかどうかを調べてみても、別に何も変わったところは無い。どう見ても皿とマグカップだけを狙った確信犯のようだ。

無いものをいくら探してもしょうがないので、諦めて飯を食う。昨日の残りだっていうのに、それだけで腹いっぱいになってしまうところが凄い。こんなのを一人前として出すんだから、一体こっちの食事の単位はどうなっているんだろうか。そんなことを考えつつ、テーブルに置いてあったアパートの今月の領収書を見ると、何と1ヶ月で$1,632もするではないか! 仮に1ドル100円だとしても163,200円、1ドル110円だとすると、179,520円。トンデモナイ額である。確かに住み心地は良いが、とてもじゃないが俺が自分で払えるような額じゃない。勿論自分で払うんじゃないけど、それにしたって気が引ける額だ。別に俺は会社には2LDKじゃなきゃヤダなんて一言も言ってないぞ。

ふう、何だか一気に疲れた。ふとDirecTVからも何か来ていたことを思い出し、開けてみるとこれまた請求書。こちらは$21.99だそうだが、俺が頼んだわけでもないのに何で俺のところにこんな請求書が来るんだ。このナントカチョイスってのも勿論俺が選んだわけじゃない。俺だったらもっと別のを頼むわい。しかも8/24までに払えとか何とか書いてある。これは勿論管理会社が払うんだろうな、と毒づいてはみたが、一応確認しないと心もとない。それにしてもさっきの$1,632と比べるとやけに安く見えるから面白い。だからって俺は払わんぞ。意地でも払わんぞ。あーあ、どっと疲れた。しょうがない、烏龍茶みたいなGREEN TEAでも飲んでスッキリするとしよう。



[ Yahoo Live ] 2000/08/10(Thu)
こっちと日本との間には当たり前だけど時差があって、その差は13時間くらい、丁度昼と夜が逆だと思っていただければ宜しいくらいなんですけど、そうなると丁度俺が出社のために家を出るころに日本では野球(ナイターに限る)が佳境に差し掛かっているわけです。で、6回とか7回くらいまで家でYahooのライブを見ていたりすると、そのうち出社せざるを得なくなってしまって、続きが気になってしょうがないわけです。

これが日本なら会社で見りゃいい(サボり云々のツッコミは却下)んですけど、こっちでは何せ英語OSなので、見ても化け化けで全然判りゃしない。そもそもライブのページに辿り着くまでが一苦労なのです。あてずっぽで、それまでの得点展開の記憶だけを頼りに、この試合に違いない、ってのを探すんだから。だから、普段はそんなの見やしません。ちゃんと仕事やってます。

しかし、今日は大洋と巨人が(俺にとっては)朝っぱらから馬鹿馬鹿しい試合をやっていて、こういうのは意地でも見たい、会社サボっても見たい、金払って日本に帰ってでも見たい、っていう気持ちになるわけですけど、まさかそんな理由のために有休をとるわけにもいかず、それ以前に俺に有休なんていう権利があるのかどうかすら判らない、さらに言うと有休って英語で何て言うのか判らない、ってな感じなので、仕方なく会社で化け化けの文字を探るのです。

さあ、それっぽいのが見つかりました。ありゃ、6回表に4点取ってるぞ。どうやって取ったんだ? まあこりゃいくら何でも勝つだろ。でもその直後の2点、2点ってのは何だ。そろそろ点取らないとアブねえぞ、オイ誰だこのバッターは、37って書いてあるから金城か? どうやって塁に出たんだ? 次は誰だ? ん、凡退したのか? じゃあ多分鈴木尚だろ。オイオイまた2点取られたのかよ、誰が投げてやがる、オイ誰を投げさせてるんだ権藤! 教えろコノヤロー! ん、何だか更新されなくなったな。ってことは終わったのか? 全然判らんぞ、まあ10分もこのまんまだから多分勝ったんだろう、あーよかったよかった、酒が美味いぞ、って俺は仕事始めたばっかりじゃないかチクショー、なんて日本語でブツブツ言いながら仕事しているふりをしているのです(今週はみんな研修だから回りに誰も居ない、さらに言うと俺の仕事もあんまり無い)。

そして家に帰る頃になると、大抵の大洋関連サイトや新聞系サイトの更新も終わっていて、半日ぶりに堂々と煙草を吸いながらWebを見るわけです。この満足感と言ったらもう! 特に今日は中華料理屋で中国系のウェイターに色々と話しかけられて、しかもBag(take out用の入れ物のこと)とBusを聞き間違えて、俺は車で来たなんて馬鹿な返事をしてみっともない思いをした後だったので特にサイコーなのです。しかし米国まで来てこんなことやってていいのかいな。



[ Thunderstorm ] 2000/08/09(Wed)
このへんの天気が普段はどうなのかは全然知らないけど、少なくとも俺が来てから暫くの間はあまり雨も降らず、降っても夜中だけで、昼間は日差しが目茶苦茶強いわけでもなく、酷く暑いわけでもなく、湿気もなく、要するに過ごしやすい気候だったんだが、どうも昨日から突然ザーッとスコールが降ったりするようになった。これまでも天気予報では散々Thunderstorm云々と言っておきながら全然降らず、俺の中ではこっちの天気予報の精度は日本以下だという認識を確立しつつあったんだが、どうやら遂に当たりが来たようだ。

まず1発目は仕事中にやって来た。どっかからドン、という音がしたかと思ったら、突然物凄い雨。俺の居場所は建物の真ん中へんで、しかも壁に囲まれている(この空間のことをcubeと呼んでいるようだ)から基本的には外なんか見えやしないんだが、たまたま隣のエライ人用の部屋の扉が開いていたので外が見える。それにしても物凄い雨だ。さっきまでカンカン照りだったのに。そして30分もしないうちに止む。

時計も5時を回り、そろそろ帰るか、というところで、またもや凄い音がする。これはイカン、さっさと車の所に行ったほうがいいぞ、と思った俺は、適当に片付けを済ませて車の所に急ぐ。そして5分ほど走ったところで、やっぱり雨が降り始める。

そしてこの雨の勢いがハンパじゃない。我がfocus号のワイパーを最高速に設定してもまるで追いつかない。前に走っているのがコンボイなものだから余計前が見えない。これまで俺のピアッツァの1本ワイパーが世界一雨に弱いと思っていたけど、実際にはこれだけ降るとそんなの関係無いみたいだ。これじゃピアッツァに乗っているのと変わらんぞ。しかし地元民は慣れたものなのか、俺の左側の車線をガンガン飛ばしていく。よくやるわ全く、なんて思っているところに雷が落ちる。ぬぉっ、光と音の時間差が殆ど無いぞ! そんなことを考えている間にも、あっちでもこっちでも光っている。全く凄い雨と雷だ。おかげでI-275から降りたMontgomery Rd.は大渋滞だ。禁煙車であることにブツクサ文句を言っている間にも雷はガンガン落ちまくる。こんなに近くで光を見るのは初めてだ。さっきまでFirestone製タイヤのリコール問題云々と言っていたラジオが、突然緊急放送に入り、Thunderstorm情報を伝える。ナントカcounty(日本で言うところのナントカ郡)では注意が必要、なんて言ってるけど、ただでさえ地理感覚が無い俺に地名を言われても全然判らん。しかもcountyで、だ。日本でもcountyなんて滅多に使わないってのに。

帰宅途中にwebで発見した中華料理屋に寄るつもりだったことすら忘れ、何とか家に着く。テレビをつけると、案の定どこもThunderstorm情報ばっかりだ。相変わらずcountyで言うもんだからよく判らない。今回のはHeavy ThunderstormではなくSevere Thunderstormだから云々と言っているが、俺の英語力では違いがよく判らない。日本で言うところのアメダスみたいな画像が出ると多少は判る。どうやらかなり限られた地域でしかこのThunderstormは発生していないらしいが、その限られた地域の中にシンシナティのダウンタウンや、我が家も含まれているようだ。あーあ、腹減った。でも今更出る気にもならん。仕方ないので、たまたま買ってあったハムと野菜でサンドイッチを作る。これが日本だったら間違いなくボンカレーだろうけど、こっちではサンドイッチが一番手軽で良い。さて、飯も食ったことだし、ネットに繋いでみるか。普通なら雷による故障を考えて繋がないのだが、ヒマなので何となく繋いでしまう。何の問題もない。そのまま30分ほどあちこち見て回る間に、何度か部屋の電気が暗くなったりする。うーん、やっぱりマズイか? このページがいきなり更新されなくなったら、俺のPowerBookがThunderstormの前に敗れ去ったものだと思っていただきたい。



[ Automation ] 2000/08/08(Tue)
今の仕事は、とある機能を使ったときに同時に他のデータを自動でどうたらこうたら、というやつで、これをAutomationナントカとか、Automaticallyナントカと言っているんだけど、そういうのが好きなのは日本人だけなのかと思ったら、米国人も意外と好きなようだ。

朝飯用のパンが切れたので、会社帰りにMEIJERに寄る。ついでにCoorsの24本入り(たったの$13.75)を買ったりして、レジに並ぶ。こっちのスーパーは、あんまりにも大量に買う人が多くて、ちょっとしか買わない人が待たされなくても済むように専用のレーンがあるので、試しにそっちに行ってみると、何とそこは店員が誰も居なくて、客が勝手にバーコードを通して勝手に精算して、勝手に帰る、という凄いシステムだったのだ。だからって万引きし放題かと言えば、一応近くで店員が見ている(このマシン5台分くらいを一人でボーッと見ている)ので、それは無理。

目の前にはディスプレイがあって、それに従って買い物は進む。画面の表示も、流れるアナウンスは勿論英語であるが、この程度なら楽勝で聞き取れる。慣れてくるとニュースのようにはっきりと喋る英語ならそれなりに聞けるようになるのと同じである(だからと言って他人とのTalkが出来るかというと全然そんなことは無いのだ。同じニュースでも、興奮した早口のレポーターが言ってることは全然判らん)。そもそもこんな所で英語が判らなくてオタオタしていたらカッコ悪いではないか。間違えたらそこの店員を呼べばよい。しかし操作自体は迷わなくても、バーコードの位置が判らなくて結局オタオタする。これは米国人でも同じだろうから開き直る。最後にビールを通してお終いだ。画面の買い物完了ボタン(勿論英語)を押すと、支払い方法を聞いてくる。たかだか支払いなのに選択肢が12個もあるのが解せない。クレジットカードのボタンを押して、あとはいつものようにタッチパネルでサインを入力するだけ。何だこりゃ、目茶苦茶簡単じゃないか。

結局、店員と一言も話をしないまま買い物は終わってしまった。勿論日本では何も話をしないで店を出るのは当たり前だけど、レジで必ず話しかけられるこっちとはワケが違う。ガソリンスタンドも店員と顔を合わせもせずに終わるしなあ。最初のうちは、いちいち話しかけられるのがプレッシャーだったけど、それが無いと逆に寂しかったりするから不思議なもんだ。米国よ、今度は一体何を自動化するつもりなのだ。



[ Chinese ] 2000/08/07(Mon)
何故か知らないが異常に目覚めが悪い。土日にここぞとばかりに煙草を吸いすぎたからだろうか。そして会社に行ってみると、どうしたことか異常に人が少ない。何があったのか、と思ったらどうやら社員向けの研修をやっているらしい。おかげでRaviが捕まらないから仕事が進まない。ダラダラしているだけで1日が終わる。ヒマでもネットサーフィンできない(英語サイトなら見れるけど、バレたらヤバイし)上に、煙草も吸えないのは非常につらいのだ。

そんな感じなので今日はさっさと帰る。今日は何となく何処かで食いたい気分だったので、この間行った"MEI"の近くにChineseナントカってのがあったのを思い出してそこに向かう。うちの前の道を6マイルくらい行って、色々な店が並んでいるエリアに入る。このへんだったよな、と思って看板をよく見ると、何とChineseではなくCheeseではないか。あーもう、チーズなんか食ったってしょうがないって。面倒だからその向かいのMEIで食って帰ろうかと思ったけど、ここまで来る途中にちゃっかりとChinese Restaurant OPEN Jul 30、とかいう張り紙を見つけていた俺は、すぐさまそこまで戻ることにする。

その店はI-275からMontgomery Rd.に出てうちと反対側に行ってすぐの所にある。店の名前はSHAN-SHANと言うらしい。漢字では「香郷」と書くみたいだ。店に入ってみると、店員が中国人なので安心する。こっちの人間が作っている中華料理って、中華料理とは全然かけはなれたものも結構多いのだ。アボガドの寿司を食っても、全然寿司を食った気分にならないようなもんだ。メニューを見ていると、漢字が書いてあるのでこれまた安心するが、安心するだけで意味が判らないのは日本に居るときと同じだ。$10ちょっとのコース料理みたいなのもあるけど、何となく焼きそばにする。一番高い具の種類が多いやつで$7.50だ。

出てきた焼きそばは、何だかきしめんを半分に薄切りにしたような妙な焼きそばであった。これならペヤングの方がよっぽどまともだぞ。しかし具がこれでもかと乗っていて、かなりソース系の味付けがされたこの焼きそばは、意外なことになかなかであった。ふう、食った食った、さてここはどうやって金を払うんだ、と思っていると、店員が値段を書いた紙とクッキー(Fortune cookieと言うらしい)を持ってくる。多分クレジットカードを渡すと、もう一度チップ欄があるレシートを持ってくるんだろうなあ、なんてことをクッキーを食いながら考えていると、いつのまにかそばに居た店員が何か言っている。ろくに聞いていなかったので聞き返すと、また別のことを言っている。何かと思ったら「茶」と言っていた。英語で言っているとばかり思っているところに突然日本語が混じると逆に判らん。勿論頼む。そして出てきた茶がまた美味い。当然日本茶では無いが、これはこれで良い。どうして米国人にはこういう薄くて且つ深みのある味が理解できないのだろうか。珈琲だけは薄いのが好きなくせに。

支払いは予想通りに進み、$1.50をチップとして追加。それなりに満足して店を出た。隣の二人組が食っていたコース料理がなかなか美味そうだったので、今度はあれを頼んでみよう。ワンタンも出てくるみたいだし。実はそれが一番楽しみだったりして。



[ Green Tea ] 2000/08/06(Sun)
昨日の反省を踏まえて朝9時に起きる。しかし困ったことに雨だ。俺は基本的に雨が降ると何もしない奴なので、今日は一日中英単語でも覚えてるとするか、と開き直っていると、気付いたら雨が上がっている。うむ、じゃあ外に出るか。しかし外に出た途端また雨が降る。ダメだこりゃ、少なくともドライブ日和じゃない。郊外の店探しもメンドクサイ。こういう時はやはりショッピングモールが良い。1つの建物の中で色々見れるから、雨にあたらなくて済む。ショッピングモールも色んな所にあるけど、まずはJimお勧めのKenwood towne centre(例のガイド本ではこういうスペルになっている)にでも行ってみよう。どうせ中で昼飯も食えるだろうし。

ここはうちの前のMontgomery Rd.を真っ直ぐ行っても着けるけど、どうせ混むだろうからI-71を使う。再度Montgomery Rd.と合流するところがちょうど目的地だ。前の車もここが目的地っぽいので、そのままついていって車を停める。うーん、確かにデカそうだ。さて、入ってみるか。

中に入ると、まあいかにも米国のショッピングモールといった感じで、さらに言うとこういうところには俺が欲しがるようなモノはあまり売っていない、ってものいかにもショッピングモールだなあ、といった感じ。値段だってそんなに安いわけじゃないし。衣類を中心に、鞄、靴、サングラス、スポーツ、文房具(もうすぐこちらの新学期だから、どこもBack to schoolセールをやっている)、電気製品、CD、ビデオ、色んなものが売っているけど、どれもそんなに魅力的には思えない。あまり無駄遣いすると自分の首を絞めるだけだ。ただでさえカードの使い過ぎで金銭感覚がおかしくなりかけているのに。

結局何も買わずにウロウロしているうちに、フードコートに辿り着く。ピザだのハンバーガーだのメキシカンだのと色々ある。腹減ったから何か食うか、と思ったら、中国料理系の店員のニイチャン(中国系)がこのチキンを味見してみろ、と楊枝に刺さったチキンを俺に渡そうとする。日本のスーパーのような演出に感動した俺は勿論頂く。うむ、味も悪くない。当然の結果としてここの飯を食うことにする。ライスまたは焼きそばに、肉や野菜を好みに応じて組み合わせて一つの皿に乗せる、といった、こちらではよくある売り方だ。いちいち指定するのがメンドクサイので、壁に書いてある組み合わせのうち、焼きそば、チキン、野菜炒めの組み合わせを頼む。これだと"No.2"とか言えば済むから楽で良い。ついでにChinese Teaなるものも頼む。これまた中国系のネエチャンに、久々に現金で支払う。これで$5程度だから、安いといえば安い。適当な席に座って食う。うむ、この焼きそばはなかなか美味いぞ。日本のスーパーで買えるマルチャンとかの焼きそばそっくりだ。他のものも中々良い。そして何よりChinese Teaが美味い。単なるティーバッグなのに。この昼飯だけでここに来た甲斐があったというものだ。これに味をしめた俺は、帰りにスーパーに寄ってお茶を買うことを決意。そこでJAPANESE STYLEとか書いてあるGREEN TEAのティーバッグを買った俺は、帰宅早々に湯を沸かしてお茶を入れる。するとその味も、色も、紛れもなく烏龍茶であった。どこが日本風緑茶だ!



[ Public smoking area ] 2000/08/05(Sat)
こっちに来て初めての休み。その記念すべき日に、これまたこっちに来て初めての大寝坊をする。何と起きたらもう12時だ。ついこの間まで時差ボケがどうこう言っていたのはどうしたのか。寝坊癖だけは何処に言っても同じなのか? しかしこっちは普段の出社時間が早いので、あまり寝坊癖をつけるわけにはイカン。明日からは気をつけよう。

米国でやることが無いときにやることと言えばドライブである。米国に限らず、引っ越したばっかりの時は大抵そうだ。あっちこっち走っていれば何か面白いものでも見つかるかもしれん。しかしさすがに目標が無いと成り立たないので、とりあえずOhio Riverでも見て、ダウンタウンのあたりをウロウロして、Cinergy Field(Cincinnati Redsの本拠地)でも見てみるか、ということにする。

とりあえずI-275で南に下る。いつも会社との往復で使っているあたりを通り過ぎると、徐々に山間部に入り、東名高速の足柄あたりのような雰囲気になってくる。そろそろ川も近いか、という所で降りると、川沿いに走るハイウェイに入る。これがまた目茶苦茶気持ちが良い道で、このまんま延々走ってしまいそうになる。嗚呼、何でこの車は禁煙車なんだ!

しかしこの道は何処まで行くのかさすがに不安になってきた。適当なところで右折して砂利道に入って地図を確かめる。目の前には看板があって、ここはキャンプ場らしいが、1泊程度じゃダメ、長期の人のみ、なんて書いてある。たかだかバンガローに1泊したくらいでアウトドアがどうのこうのと言う日本人には理解できない話だ。ところでこの道は何処まで続くんだ? 地図が途中で終わってしまったので判らない。ついさっきナントカParkという看板を見たので、そこに行ってみることにする。

看板が出たところで道を曲がる。このナントカParkの正式名称は"WOODLAND MOUND PARK"と言うようだ。すると道は突然凄い勢いで登りだす。そして頂上に登って車を停め、100メートル程の道に沿って展望台まで行ってみると、おぉ、これはなかなか良い眺めではないか!

日本のこういう所みたいにゴミだの煙草の吸い殻だの落書きだのといった、興ざめなものが何も無くて、ただ案内板だけがあるというのが良い。やっぱりこっちの人間は一人一人の意識が高いんだなあ。別に何をするわけでもなくただボーッとする。空がキレイだ。Ohio Riverはあんまりキレイじゃないけど。暫くダラダラして車のところに戻る。駐車場のそばにはこれまた案内板があって、何やらこの先はトレーニング用コース?でもあるらしい。ふーん、なんて思っていると、如何にも運動帰りといった感じのお爺さんが登ってきた。そうか。今度ここに来るときはそれ用の装備でもしてくるか。まあタオルと換えのシャツくらいしか無いけど。

さて、そろそろ行くか。地図を確認すると、最初に行こうとしていた公園みたいな所は実は競馬場みたいで、それはさっき来た道をそのまま戻って途中で降りて、真っ直ぐ行けば辿り着けそうだ。俺は競馬なんかには興味は無いけど、こっちの競馬場を見てみるのも悪くない。折角なので行ってみよう。

10分程度走ったところで競馬場に着く。例によって巨大な駐車場だが、今日は競馬は開催されていないのかガラガラだ。適当な位置に停めて、建物の方に向かう。中に入ると、いかにもギャンブルが好きそうな人が手に新聞を持ってテレビ画面の中の馬を見て一喜一憂している。あるオッサンはしきりに"Two! Two!"と叫んでいる。このへんは多分日本と同じなのだろう。小腹が空いたので、売店で$2のホットドッグを買って、何となくスタンドに登ってみる。どっかのプロ野球チームの本拠地を思わせるガラガラな空間が待っていた。ふーん、やっぱり競馬場って広いんだねえ。その辺の席に座ってホットドッグを食っていると、これまた米国っぽいオッサンが登ってきて、カッコつけながら新聞とにらめっこしている。ん、煙草吸ってるぞ、いいのか? まあ誰も居ないから別にいいんだろう。食い終わったところで下に降りてみると、よく見たらみんな歩きながら堂々と煙草を吸っている。おぉ、ここは米国で唯一残された喫煙可能な公共の場だったのか! どうせ吸えないと思って煙草は鞄に入れっぱなしだったことを後悔する。折角なので車に戻って、駐車場で堂々と煙草を吸う。こんなに気持ち良いモノはない。

さて、じゃあダウンタウンにでも行ってみるか。地図を見ながら多分こう行けばいいんだろう、というのを確認する。何はともあれI-71かI-75に行かねばならない。そのためには一度I-275に乗って、I-471に乗り換える必要がある。看板を見ながら頭に入れた地図の通りに進む。米国の看板はレーン毎にきっちり表示されるので判りやすい。徐々にダウンタウンのビル街が近づいてくる。しかしそれでも間違えて、I-71を俺の家の方に行ってしまった。もしかすると元々行けないのかもしれない。適当に走っているうちにI-75に戻ることに成功し、"STUDIUM PARKING EXIT 1G"という看板を見つけ、さて1Gの出口で出るか、というところで、右側車線のコンボイに邪魔されて降りそこねる。何でそんなに図体がデカイんだよクソッ。

結局そのままI-75を進んで、ケンタッキー州に入ってしまった。適当な所で降りて戻る。今度は1Gには拘らず、適当な所で降りてCinergy Fieldに向かう。デカイから位置的関係は何となく判るけど、一方通行ばっかりなのが困りものだ。まあこれは米国のダウンタウンは何処も一緒か。ようやくCinergy Fieldが間近に見えるところまで来たが、困ったことに辺りの道が殆ど工事中で走りにくくてしょうがない。適当な空間に車を停めてCinergy Fieldの写真だけ撮る。今度はちゃんと野球のスケジュールを調べてから来としよう。あーあ、慣れない所ばっかり走って疲れたぞ。適当に車を走らせて、再びI-71に乗って、そのまま家まで戻る。

結局のところ、今日ウロウロして判ったことは、とにかく俺はこの辺をまるで知らないということだ。シンシナティの地図だけあっても何も始まらん。そこで、このへんのガイドブックを探しに本屋に行くことにする。早速Yellow Pageを調べてみると、例によってStreet nameが基準なのでさっぱり判らん。まあいい、ちょっとデカいスーパーに行けばあるだろ。うちの近くの、デカい店が沢山並んでいる一角にまだ行っていないことを思い出して、そこの調査がてら行ってみることにする。

そしてその一角に入ると、ものの見事にそこに本屋があるではないか。そうそう、大抵こういう所には本屋の一軒や二軒はあるのだ。久々に入る米国の本屋は、他の米国の店、例えばスーパーや電気屋なんかに比べるとやっぱり落ち着いた雰囲気だ。米国人向けの日本語教育本や、日本の紹介本を読んでニヤけてみたり、こんな内陸なのに波乗り雑誌があることにビックリしたりしながらウロウロしているうちに、ガイドブック関連のコーナーに辿り着く。色々物色して、"GREATER CINCINNATI CLOSE-UP" "Day Trips from CINCINNATI"の二冊を購入する。

早速家に帰って読んでみる。勿論英語なので、読むのにいちいち時間がかかってしょうがない。カッコつけて英英辞典で調べながら読んでいるので余計に時間がかかる。とりあえずCINCINNATIの人間が地元に非常にプライドを持っていることだけは判った。この本のタイトルもそうだけど、WebにしろTV Newsにしろ、何かにつけて"GREATER CINCINNATI"って言ってるもんなあ。さて、来週はこの本でも見ながら、どっかに行ってみるとするか。



[ DirecTV ] 2000/08/04(Fri)
またしても足がつって目が覚める。今度は左足だ。一体何が悪いんだか良く判らないが、何かのせいにしないと気が済まない俺は、ベッドが柔らかすぎてダメなのだということにしておく。いつも通りパンを食って、昨日ようやく買って来た珈琲を飲んでから出社。一人しかいないのに10人用の珈琲メーカーを使うのは変な気分だ。

前日ようやく仕事の担当がきちんと決まったので、それについて考えていたらもう1時だ。いつもはRaviが食事の誘いに来るんだが、今日はどうしたんだろうか。それとも気付かなかったのか? まあ俺ともあろう奴がそこまで集中して仕事をするわけが無い。単に誘いに来なかったのだろう。とにかく腹が減ったのでカフェテリアに行くと、いつものオッサンが居ない。もう終わったのか、と思ったら、外でバーベキューセットで何か焼いている。今日はスペシャルグリルナントカだ、そのへんのホットドッグ用、ハンバーガー用、何でも好きなパンと具を持ってこい、なんて言うので、ハンバーガー用のパンを持っていって、ビーフを入れてもらう。俺はそこにレタスとトマトを挟む。こんなのでも、今週で一番まともな昼飯を食っているような気がするぞ。

ふと気付いたらもう5時。辺りが異常に静かなので、ウロウロしてみると既にJimもRaviも居ないらしい。何てこったい、金曜はさっさと終わるというなら先に言ってくれ。俺も早速帰り支度をする。そして家に帰ってテレビを付けようとすると、ありゃ、どうしたことだ、ダイニングの方に向きを変えていた筈なのに、勝手にソファーの方を向いている。不審に思ってテレビの方に行ってみると、テーブルの上に妙なリモコンが置いてある。ん、何だこりゃ、ケーブルテレビでも入ったのか? と思ったら、どうやらDirecTVが導入されたようだ。日本でも衛生放送なんてものには縁が無かった俺には涙モノの装備である。チャンネル一覧には、スポーツ、音楽等色々なものが書いてあるが、勿論NHKなんてものは無い。クソッ、NHKがあればたまには大洋の試合が観れたかもしれなかったのに。まあいい、早速いじってみることにする。

一覧に従って番号を入力してみる。しかし、ことごとくPay per viewの壁に跳ね返される。オイオイ、俺に金払えってのかい。期待した音楽関係やスポーツはろくに見れず、結局見られるのはESPNとかCNNとか、普通の地上波でも見られるところとあまり変わらない。あーもう、これじゃ全然意味無いじゃん。そもそもRedsの試合が見れないってのはどういうことだ? しょうがない、飯でも食うか、と思ったけど、そんなに腹が減っているわけでもないので、ちょっと敷地内を散歩してみることにする。

ここのアパートは、日本で言うアパートとは全然違って、一つのコミュニティのようになっている。池があったり、テニスコートがあったりして、少なくとも普通の日本人に言葉で説明できるようなもんじゃないのだ。おそらく運動不足な俺にとっては適度な散歩になりそうだ。ダラダラ歩いていると、鳥が近くを横断していったり、老夫婦がPatioでくつろいでいたり、若い連中がゴルフクラブを積み込んだりしていたり、オバチャンがジョギングしていたり、色んな光景が目に入る。いいなあ、日本でもこんな所に住めたらいいのに。

部屋に戻ったら、まだまだ明るいのにもう8時だった。レストランに行くほど腹が減ってはいないので、昨日買っておいた別のステーキで済ますことにする。一応違う肉だから別にいいだろ。そもそも日本でも毎日同じようなものばっかり食っていたので、二日続けて同じものを食うことに何ら抵抗は無い。そもそも一人でレストランに行くほうがよっぽどメンドクサイ。米国のレストランって、一人で黙々と食うような牛丼屋とかラーメン屋みたいなものはあんまり無いから、一人だとどうにも居づらいのだ。ファーストフードなんかに行くんだったら自分で作ったほうが安上がりだし。大体こっちのレストランは量が多すぎて食いきれたもんじゃない。というわけで理由付けが済んだところでステーキを焼く。昨日のより薄いけど、こっちの方が美味いぞ。値段も一緒だし。さて、明日からはこっちに来て初の休みか。元々観光に来たわけでもないから、このへんに何があるのかまるっきり知らない。というより、日本じゃこのへんのことを書いた本なんか無いから知りようもない。う〜ん、一体何すりゃいいんだろう?



[ Cooking ] 2000/08/03(Thu)
7時にセットした目覚ましが鳴ってもいないのに目が覚める。同時に右足に激痛が走る。何だこりゃ、足がつってるじゃないか。運動なんかろくにしていないのに足がつるってのはどういうことだ、それとも運動のしなさすぎか? どっちにしてもそうそう我慢できる痛みではない。ただただ痛みの峠が過ぎるのをじっと待って、落ち着いたころに時計を見るとまだ5時半だ。あーもう、こんな早く起きたってしょうがないのに。寝られそうにもないので、起き上がってストレッチをする。ヒマなのでネットに繋いだり、英語の勉強をしたりする。こちらの朝は、ちょうど日本で野球が始まる時間なのだが、7回あたりになったところで出社せざるを得なくなる。あと1時間時差があったら良かったのに。

仕事はいつも通り大したことなく終わる。ランチにはVegitables subなんてものを頼んでみると、ホットドッグ用のデカいパンに、炒め野菜をどっかり乗せたものであった。これにフライドポテトが付く。しかしこんなデカイのをどうやって食えって言うんだ。どう頑張っても普通に食える大きさじゃない。しょうがないので野菜だけフォークでつまんで食う。机に戻って、subってのはどういう意味だ、と思って辞書を引いてみても食い物関係のものは載っていない。まさかサンドイッチ屋のsubway絡みではあるまいな。

今日は仕事中に眠くなることもなく仕事が終わる。昨日無理矢理起きていたのが少しは効いたようだ。じゃあそろそろ洗濯でもするか、と思ってスーパーに洗剤を買いに行く。ついでに食料品も見ていると、ステーキ肉が異常に安いことに気付く。何しろ1人前が$1.5とか、そんな値段なのだ。調理器具は揃っていることを思い出して、思わず買ってしまう。だったら塩や胡椒、油なんかも要るよな。サラダも欲しいからレタスを買おう。じゃあドレッシングも必要だ。ここまで来たらビールも欲しいぞ、とあれやこれや買っている間に、気付いたら$40くらい使っていた。まあいい、高いレストランでステーキ食ってもヘタすりゃこのくらいいくかもしれん。食事代は会社持ちだし。しかしビールを買ったのに、パスポート出せとか言われなかったな。何でだろう。

家に帰って早速ステーキを食う。つけあわせはレタスと、前に買って余っていたフライドチキン。そろそろ期限切れだから食わねばならん。肝心のステーキは、いかにもアメリカの肉、って感じ。まあ一番安いやつだから仕方あるまい。これとレタスだけで案の定腹いっぱいだ。パンでも焼こうと思っていたけど、焼かないでおいて良かった。それどころかチキンは全く手を付けずに残ってしまった。

ようやく飯を食ったので、洗濯でも始めてみる。こちらは洗濯機までもがビッグサイズだ。蓋の裏に書いてある説明に従って洗剤を入れ、服を入れる。どうやら全自動らしいが、専門用語が多いので何をすれば良いのかよく判らない。こんなところにまで辞書を持ち込まざるを得ないところが情けない。何だ、detergentって洗剤のことかい。判らずに買って来た俺も俺だが。スイッチを入れると、物凄い轟音とともに動き出す。日本のような壁の薄いアパートでは絶対に受け入れられない音に違いない。30分弱で洗濯が終わり、隣の乾燥機に入れる。こっちも音が凄い。ついでに時間のかかり方も凄い。40分くらいやっていただろうか。音がしなくなったので見てみると、どうやら終わったようだ。おぉ、凄いぞ、殆ど何もしないで終わってしまうとは。未だに日本で二層式を使っていた俺としては、何だか1階級偉くなったような気分だ。

洗濯も終わったので、Coorsを飲んで久々のアルコールに浸る。コイツも12本で$7ちょっとだから異常に安い。久しぶりの酒は非常に美味い。おっと、あれこれやっている間にもう1時か。やっと体がこちらに慣れてきたようだ。



[ MEI ] 2000/08/02(Wed)
昨日の反省をふまえて、20分ほど遅く家を出る。それでも会社には人は少ない。適当に仕事をしているうちにランチタイムになる。Raviに誘われるままにカフェテリアに行く。今日のメインはChili Macとか言う奴で、何かと思ったらマカロニと豆を和えただけのものが大量に皿に乗っているだけだ。あんまり食欲をそそるようなものではないが、これしか無いんだからしょうがない。ただでさえ美味くないのに、食後の一服ができないので余計に食った気がしない。Raviは同僚のBobと何か話をしているが、速すぎて何を言っているんだかさっぱり判らん。話題はコンコルドの一件のようだ。俺はただ黙って聞いているだけだが、たまに下らないジョークを言っているのが判るのでそこだけ笑う。職場に戻って仕事を続行。

珈琲(タダでいくらでも飲める)を持って歩いていると、Raviが食事はいつもどうしてるんだ、なんて聞いてくる。日本料理屋があればベストだけど、どうせ無いだろうからチャイニーズを探している、なんて言うと、Raviの机の所に連れていかれて、そこで一緒にイエローページを探す。すると、日本料理店は3件くらい、中華料理は20件くらいあることが判る。でも、全部ストリート名しか書いていないので何処にあるんだか全然見当がつかない。とりあえず俺のアパートがあるのはMontgomery Rd.という所なんだが、その通りに中華料理屋が1軒あるのを教えてもらう。キャデラックのディーラーの隣らしい。

適当に仕事を終えて、早速自宅のイエローページを探る。地図を見ながら、多分このへんだろう、という見当をつけて、車で向かう。そのうちキャデラックのディーラーが現れたが、見事に左折し損ねてUターンする。どうやらこのエリアはレストランばかりが集まっているようだ。すると、突然"Japanese"という看板が目に入る。ん? 何だこりゃ、日本料理屋もあるのか? どうやらこの店は"MEI"というらしい。どういう意味なんだか判らんけど、まあいいや、入ってみよう。

外から店内を見てみると、どう見ても日本人とおぼしき集団が酒盛りをしている。普段だったらあまり気に入る光景ではないが、今となっては妙に懐かしい。店に入って、店員に声をかけようとすると「いらっしゃいませ」と言われて逆に驚く。紛れもなく日本人が話す日本語である。「一人なんですけど」「カウンターで宜しいですか?」「ええ」みたいな当たり前の会話だってのに、日本語だと妙に安心する。ほんの3日前に日本語使ったばっかりなのに。日本語で書かれたメニューを見て、日本語で注文する。しかし、もう一人のウェイトレスは外見は東洋人なのに日本語はダメなようで、指で指定しながら豚カツ定食とはまちの寿司を頼む。我ながら妙な組み合わせだ。店主もおそらく日本人であり、いかにも寿司屋らしい包丁さばきをしている。前に置いてあるカードを見ていると、MEIというのは"芽生"と書くんだってことが判る。他の日本料理屋は"SHOGUN"だとか"OSAKA"なんていう名前だってのに、なかなか洒落ているではないか。

俺の隣のアメリカ人は、あまり慣れない手つきでChopsticksを持って寿司を食っている。真ん中へんを掴んでいるようではダメだ。そういや箸なんか暫く使ってないなあ、なんて思いつつ、出てきたはまちの寿司を手で掴んで頬張る。いいか、寿司ってのは手で食うもんだぞ。箸なんか使わなくても良いのだ。しかしこんな内陸部ではまちの寿司ってのも妙な気分だが、美味ければどうでも良い。続いて豚カツ定食が出てくる。こちらの趣向に合わせているのか、折角の大きい豚カツは1cmくらいの細切りになっている。そういや前にシアトルで食った時もそうだったよなあ。味はなかなかのものであるが、米があまり美味くないのは米国に居る限り何処に行っても同じだろう。しかし何より味噌汁が異常なまでに美味い。たかが味噌汁だってのにこんなに美味いもんかね。

ふう、満足したぞ。会計を出してもらうと、約$15だ。え〜と、チップが15%だとすると大体$17くらいか? まあいいや、目茶苦茶満足したから釣りは要らねえ、と$20札を置いて出ていく。しかしレシートを貰い忘れて引き返す羽目になるのが情けない。レシートが無いと会社から飯代を貰えないのだ。しかし一体誰だ、飯代は払う代わりに日当$9なんていうセコイやり方を考えたのは。毎日超高級レストランで$100使っても払うんだろうなオイ。眠さの上に満腹感を抱えて、重くなった体を引きずって家に戻る。

時間はまだ8時を過ぎたばっかりだが、とにかく眠い。しかしここで寝てしまうと時差ボケはいつまで経っても直らないので、あれやこれやしながらひたすら耐える。しかし11時頃に遂に限界になり、寝てしまった。これで多少は時差ボケが解消すればいいんだけど。



[ Sleep ] 2000/08/01(Tue)
渋滞の予想がつかないので、7時半に家を出る。すると、アッサリと8時頃に会社に着いてしまった。案の定誰もいない。仕方ないのでドキュメントを読んだりしているうちにポツポツと人が増えてくる。とりあえず俺の仕事も決まったようで、午後からは早速その仕事に関するTelephone Conferenceに出席することになる。勿論俺は主役ではなく、ただ隅の方で聞いているだけだ。どうせ聞いても判りゃしないんだけど。

部屋に入ると、机の上にそれ用の機械が置いてある。何だこの円盤みたいな奴は。そんなことを思っているうちに会議は始まる。思った通り何を言っているのか判りゃしない。判った単語だけ断片を並べて想像するしかない。この拷問は1時間近く続き、話が営業的なことに移った時点で俺は退席する。

その後開発環境整備なんかやっていたが、相変わらずの時差ボケで仕事にならない。眠気覚ましをしようにも、煙草を吸う場所もないんだからどうしようもない。寝たり仕事したりを繰り返しているうちに5時になる。そろそろ退社時間の筈なんだけど、一体ここの人達はどんなタイミングで帰るんだろうか。チャイムが鳴るわけでもあるまいし。良く判らないのでとりあえず5時半まで適当にPCをいじる。そして辺りをウロウロしてみると、かなりの人が帰ったような雰囲気がある。じゃあいいや、俺もさっさと帰ろう。

帰宅してメールチェックなんかをしていると、遂に眠さは堪え難いレベルまで到達してしまい、気付いたら椅子の上で寝ていた。2時間ほど経っただろうか。気分を変えるべく、ソファーに座ってテレビを見ているうちに、案の定また寝てしまう。積極的に聞かないと何を言っているのか判らないテレビなんぞお経みたいなものだ。そして気付いたらもう12時である。微妙に腹は減ったが、さすがに外に出る気になる時間ではない。仕方ないので、先日買っておいたサッポロ一番のカップラーメンを食う。日本のものとは違っていて、スープが別の袋に入っているのがメンドクサイ。ついでに味も微妙に違う。ラーメンのスープまでテリヤキにしなくたっていいだろうに。そして風呂に入って、また寝る。寝てばっかりだな、ホントに。なのに、どうして時差ボケは直らないんだろう。

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